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2005/07/01
【衆院郵政特】川内・大出・中塚議員、郵政法案の問題点を次々追及


衆議院郵政民営化に関する特別委員会では1日、昨日予定されながら行われなかった審議が行われた。民主党・無所属クラブを代表して、川内博史・大出彰・中塚一宏各衆院議員が質問に立ち、郵政民営化法案などの問題点を様々に挙げて、厳しい追及を続けた。

 まず質問に立った川内議員は、郵政法案を、「日本の地域社会を壊してしまいかねない危険性をはらんでいる」と指摘した上で、与党側で行われた修正に関して、小泉首相に対し、「わざとらしく、修正した修正したと大げさに演じるのが政治家の務めなのか、大変悲しい思いだ」と、厳しい見方を示した。

 そして川内議員は、「過疎地域では金融に関しては、郵便局と農協に頼っている」事実を指摘し、「ユニバーサルサービスは郵便事業のみ義務づけ」となっていることを問題視。「あまりに『見込み』が多すぎる」郵政法案に改めて疑問を呈した。

 更に川内議員は、郵政折り込みチラシをめぐるスリード社との随意契約を行ったことの正当性に疑義を呈し、厳しく追及。会計法の観点から、同社の企画書が他の物品を以て代え難いものだったのか、「どう考えても、おかしな契約が行われたと言わざるを得ない」などと迫ったが、竹中民営化担当相は、「適切に対処してくれている」などとした。

 また、株式公開後の外資の介入についても川内議員は厳しく竹中担当相を質したが、「想定は難しい」などと竹中担当相ははぐらかし、「民営化の本質を隠す意図を感じざるを得ない」と川内議員は断じた。最後に、「郵貯銀行、郵保会社は、銀行法、生命保険業法にかかる一般商法会社か」を質し、その通りとの回答を得た川内議員は、「これに国の信用があるというのは論理矛盾だ」などと指摘し、更なる議論を続けるよう要求して質問を締めくくった。

 川内議員に続いて質問に立った大出彰衆院議員は、橋本政権時は、公社のまま民営化をしないというのが政権の見解だったことを指摘し、現在その見解が変わったのなら説明すべきで、「後から歴史的事実を変えるのはまずい」として、見解を改めて質した。細田官房長官は、総理の答弁の中で認識がはっきりしなかった部分があったのは事実などとしながらも、指摘は承知している、などと直接答えなかった。このため大出議員は、過去の郵政相を参考人として招致する要求をしているにも関わらず、与党側が応じないことを指摘した。

 大出議員は、竹中担当相が郵政公社の労働組合の皆さんとその後話し合いの場をもったのかの問題、米国の年次報告書の問題などについても竹中担当相を厳しく質した。更に大出議員は、郵貯のATMからの振り込み手数料や通帳の再発行手数料などが民営化で増額される可能性にも言及。詳細に様々な論点から、なぜ今、郵政民営化を急がなければならないのか、基本的な問題について改めて提起を行った。

 また大出議員は、折り込み広告のターゲット戦略に関するペーパーに、IQに関する記述があり、国がIQの高低に触れた戦略を元に折り込み広告を配布したことを問題視し、南野法相の見解を質したが、「個別の文章自体の評価に言及するのは差し控えたい」などと、全く答えにならない答え。審議が一時ストップした。大出議員は、過去の法相答弁を例に、個別だから、というのは理由にならないと厳しく指摘して、質問を終えた。

 続いて質問に立った中塚一宏衆院議員は冒頭、「修正案によって何が変わるのか。竹中大臣の答弁だけでは自民党の反対派を納得させられないということで提出に至ったのか」と与党提出の修正案をめぐって質した。それに対し、自民党の柳沢議員は、修正内容は政府与党合意のなかで法律化されなかったものを盛り込んだとものとの答弁があった。与党筆頭理事の山崎議員は自民党内の反対派議員の対応について「(修正によって)当然賛成すると思う」と答弁したが、竹中担当相は、「修正案の内容については政府与党合意、国会答弁で示した事項の明確化をはかるもの」との考えを質疑の中で明示。修正案によって根本的な修正に至らないことが浮き彫りになった。

 中塚議員は郵便局株式会社法案の修正案を提示。第4条第2項第2号で「郵便局を銀行業および生命保険業の代理業務その他の郵便局に改める」としている点を取り上げ、この間課題になっていた金融サービス(貯金・生命保険業)担保のための修正と推察できると指摘した上で、その内容を質した。質疑からは「金融サービス業を規定したもの」ではなく、「営むことができる」としたものに過ぎず、過疎地における金融サービス業担保に繋がらない実態が明らかになった。

 中塚議員はまた、郵政ホールディングスの株式売却の問題を取り上げ、売却益の4割は法人税・地方税がかかることを質疑を通じて明らかにした上で、「4割税金がかかり、6割しか手元に残らないなか、なぜ敢えて買い戻すのか」として、経済的合理性を明示するよう竹中担当相に迫った。しかし、竹中担当相は「株式の売却を義務づけているのは国の関与を断ち切るため。そのうえで、経営判断に基づき民間の企業として通常の枠組みの中で買い戻すこととしている」などとする答弁を繰り返すだけで、その整合性は示さなかった。
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