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1999/02/22
平成11年度予算案審議、参議院で始まる
角田参議院幹事長vs小渕首相、参院予算委で「上州対決」




 参議院予算委員会は22日朝から、平成11年度予算案の総括質疑に入った。民主党からは角田義一参議院幹事長、今井澄予算委筆頭理事の両議員が野党のトップバッターとして質問に立った。

●消費税の目的税化は法律改正で堂々と

 角田議員がまず、予算案総則で使途を基礎年金、老人医療、介護に限定するとしている消費税について、「予算総則では1年ぽっきり。将来的な保証はない」と指摘したのに対し、宮沢蔵相は「一度書かれたものは継続するものだろうと考えている」と述べた。この答弁に角田議員は「そんなのは政治の邪道だ」と一気にボルテージをあげ、「本当に目的を変えるのなら堂々と法律改正して、国民に問うてはどうか」と迫った。これに小渕首相は「今の段階で(法律改正を)明言するのは困難」、宮沢蔵相は「消費税だけでは福祉に足りないが、これ以上の言明は誤解を招く」と逃げ腰に。角田議員は「答えになってない」と納得せず、委員会は再三中断した。

●参院定数50削減の自自合意は「意味なし」

 次に角田議員は、自民・自由両党が連立合意の際に「衆参両院とも議員定数を50削減することを目標とする」とあることをただした。「首相は、参院が議長の下で独自に選挙制度改革に取り組んでいることを、党の参議院幹部から聞いて承知しているのに勝手に合意した。参院を踏みにじるもので看過できない」と強く抗議。首相の謝罪とこの部分の合意の無効を重ねて求めた。

 角田議員の厳しい攻撃につられて、温厚といわれる首相もイラつきながら「小沢(自由党)党首の提案をなんでもうのみにしているわけではない」とひらきなおったが、角田議員は「そんな答えじゃダメだ」と質問を止め、委員会は休憩され、各党の理事が急きょ協議する事態になった。

 結局、午後からの委員会で、小渕首相は「自自両党間の協議においても参議院の独自性を尊重するとの認識がなされており、参議院の定数50減の自自合意は事実上意味をなさない」と追加答弁し、議論はひとまず収拾した。

自分の会社が国相手に訴訟
●「中村法相、辞めなさい!」

 角田議員は続いて、中村法相が実質的オーナーのホテルと競合するリゾート開発に対する告発を、法務省刑事局に積極操作するよう指示したとされる問題を取り上げた。角田議員は「問題の告発に関係する写真を刑事局長に見せたはずだ」と法相を追及したが、法相があいまいな答弁を繰り返したために、矛先は松尾刑事局長本人に。

 松尾局長は「内部の問題であり、答弁を差し控えたい」と2度にわたって答弁を拒否。このため角田議員はまたまた質問を止め、予算委理事に対応の協議を要求。再開後、松尾局長は「法務省幹部のいる席で私も同席して写真を見せられ、経過の説明を受けた」と認めた。

 角田議員は「これまで個々の事件に法相が関与したことはない。指揮権発動と結びつくことは過去の大臣は慎んできた」と法相の行為を強く批判した。

 また、中村法相が100%株を保有する企業が、法相就任後、課税トラブルで国を相手に訴訟を起こしていた事実を指摘。この会社は国税当局の税務調査を受けて法人税の申告漏れを指摘され、中村法相就任後の昨年9月に課税処分追取り消しを求めて、東京地裁に98年8月に提訴、同年11月に突然取り下げていた。

 中村法相は「悪いこととは思っていない」「法に定める国税不服審査を仰ぐ権利は誰にもある」と開き直ったため、角田議員は「前代未聞だ。自分の会社が国に訴訟を起こし、自分が国の代表として受ける。でたらめだ」と強く非難し、「辞めたほうがいい。一晩考えろ。辞めないのなら重大な決意を持って臨む」と法相の辞任を要求した。

●日債銀再建の「確認書」、提出を要求

 最後に、角田議員は、日本債券信用銀行が97年に実施した増資計画をめぐって、当時の大蔵省幹部が同年5月に、日本生命など数社に対し、日債銀の再建を確約する「確認書」を出していたことを指摘。予算委員会へ資料として提出するよう求めた。
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