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2006/03/17
【参院予算委】榛葉議員、防衛庁情報流出事件で厳しく質疑展開


 17日午後、参議院予算委員会の集中審議が開催され、民主党・新緑風会から浅尾議員に続いて榛葉賀津也参院議員(『次の内閣』ネクスト防衛副長官)が質問に立ち、防衛庁・自衛隊からの情報流出事件に関して厳しい質疑を展開。政府の責任を追及した。

 榛葉議員はまず、テロとの戦いに関して「一番大切なものが情報だ」とし、防衛庁の情報流出事件で「日本の情報管理体制がぼろぼろだということが明らかになった」と厳しく指摘した。そしてファイル交換ソフトのウィニーをインストールした自衛隊員らの私物パソコンがウィルスに感染して、膨大な情報流出があった事実を改めて紹介し、これは「人災であり、ヒューマンエラーだ」として、小泉首相の見解を質した。小泉首相は、「大変遺憾なことだと思っている」などとした。

 榛葉議員は、「自衛官一人ひとりの気の緩み、ひいては防衛庁全体の緊張感の無さや危機管理意識の欠如が、この問題を起こした」との認識を明確に示し、本来持ち出してはいけない情報を持ち出すという実状に触れ、情報管理体制がどうなっているのか、額賀防衛庁長官に答弁を求めた。額賀長官は、「まことに安全保障上、重大な事件だ」、「大変に遺憾であり、今後こういうことの無いように全力を尽くさなければならない」などとし、当面の対策を説明した。

 続いて護衛艦あさゆきの情報流出事件に関して榛葉議員は、実際に私物パソコンが持ち込まれていたとして、「保全責任者は何をしていたのか」を防衛庁側に質したが、防衛庁側は、チェックできなかった実態があった、などと無責任な答弁に終始。榛葉議員は、「結局、何もやっていなかったということだ」と厳しく批判し、世界各国では私物の持ち込みを厳しく制限している事実を指摘。ウィニーによる情報流出事件は自衛隊では4年前から起こっており、3度にわたる通達でも、全く現場にその意図が伝わっていないとして、「いったい防衛庁は何をやっているのか」と厳しく迫った。額賀長官は、「士気の緩みであると思っている」などと答弁した。

 更に榛葉議員は、この間の流出事件が全て小泉政権下での出来事であることを指摘し、「自衛隊の最高責任者として責任は重い」として、国民にお詫びをすべきだと小泉首相に要求。小泉首相は、「重大なご指摘だ」とし、「たるんでいたということだ」として、士気の緩みに「厳正に対処しなければならない」などとした。また、全体で12万台の私物パソコンがある中で、実際にウィニーがインストールされていたり、防衛庁の業務用のデータを入れていたパソコンの数も榛葉議員は質し、こうした調査が自己申告に基づいて行われている点を問題視。岡山県警の対策も例に挙げ、「より厳しいチェックをするのは当然だ」として、まず実態把握に全力を挙げるよう、強く要求した。

 そして、現在でも報道されていない部分でも情報が流出している実態を、きわめて慎重に指摘した榛葉議員は、こうした報道されていない情報流出も含めて全体像を把握しているのか、防衛庁側を質した。こうした、どんな情報が未だに流れているか分からない実態を踏まえ、榛葉議員は、「防衛機密も流れている可能性があるのではないか」についても質したが、明確な答弁は得られないまま。

 榛葉議員は、実際に流出している情報を元に、その危機的状況を具体的に指摘。与野党が対立する問題ではなく、純粋に国家安全保障上の観点から、「オールジャパンでダメージコントロールを」と強く訴えた。額賀長官も、「重く受け止め、きっちりと対応したい」と応じた。榛葉議員は、こうした情報管理もできない自衛隊を、同盟国・近隣国が信頼するかといった問題点も提起し、小泉首相は、「指摘は大変重要であると思っている」とした。

 また、刑事事件で検挙された隊員数が一昨年でも1100名を超えている現状も榛葉議員は指摘し、「国の危機管理そのものが大変なことになってきている」として、「ほとんどの自衛官が真面目にひたむきに努力している」中で、政府・政治家が気概を持ってこの問題に取り組むべきだと訴えて質問を締めくくった。
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