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2005/07/05
【衆院本会議】理念無き民営化に反対、小泉内閣は退陣を 伊藤議員




衆議院本会議が5日午後開かれ、郵政民営化関連法案と与党提案の修正案に対し、民主党・無所属クラブを代表して伊藤忠治衆院議員が反対討論を行い、郵政民営化法案に「断固反対、即刻廃案」を求め、明快な討論を行った。討論後の採決では、自民党から造反議員が続出。結果、5票という僅差でかろうじて衆議院では同法案は可決された。

 伊藤議員は冒頭、「ひたすら小泉総理が今月6日にサミットに出発する外交日程に合わせ、強行採決を行い、本日の本会議に強引に上程したことを、私どもは断じて許すことができない」として、「怒りを込めて、断固抗議する」と与党側の対応をまず批判。郵政民営化法案に関する小泉内閣のルール違反として、中央省庁等基本法33条問題や、今国会にこだわらず十分議論をすべきとの多くの国民世論や地方議会の決議を全く無視したことを取り上げて、「これが民意を吸収した民主政治と言えるのか」とし、小泉政治を「強権政治、独裁政治そのものだ」と厳しく指摘した。

 また小泉首相らが言う郵政公社の先細り論についても、「具体的数字をあげた根拠・説明がない」とした伊藤議員は、わが党の小沢鋭仁議員による20年後の郵政公社の経営状況の試算を紹介。そして、公社全体で3417億円の黒字などの数字は、「三事業一体の経営は十分可能であることを示している」とした。また伊藤議員は、郵便局ネットワークの維持の必要性や窓口での金融・保険サービスのカットへの懸念を示し、社会・地域貢献基金についても、「基金の配分基準も明らかになっていない」などと批判を加えた。

 また政府が、民営化の新規事業の展開によって収益増が見込まれるとの説明を行っていることについても伊藤議員は、「全く逆だ」とし、民営化後のビジネスモデルについて追及すると政府側は、「それは経営者が判断することだ、と一転して逃げを打つ」ことを指摘し、「いかにずさんなゴマカシ法案であるか、明白だ」と切って捨てた。また自民党の修正案に対して小泉首相が、これが政府の方針であり法的効果は不変である、などと繰り返し明言したことを、「明らかに修正案を否定するもの」だとして、「ルール違反を平然とやってのける答弁をかつて耳にしたことがない」、「まさに傲慢無礼もここに極まれりだ」と厳しい指摘を行った。

 郵貯資金の問題についても伊藤議員は、今や「郵貯・財投・特殊法人の赤字、という図式は成立しなくなっている」と指摘。国債市場暴落への懸念や200兆円の資金を擁する超巨大銀行の出現についても言及し、民業圧迫の現実を小泉首相は直視すべきであるとした。

 伊藤議員はこうした問題点を具体的に指摘した上で、「国民は民営化によってより良いサービスを受けられるのか、答えはNO!だ」と断じ、民営化後の様々な悪影響を列挙。「地域住民の安全・安心を守る拠点として、かけがえのない役割を果たしてきた、国民共有の財産である2万4700の郵便局ネットワークが破壊されるとしたら、これこそ国家の重大な損失であり、取り返しのつかないことになる」とした。

 最後に伊藤議員は、「ただ勘に頼ってのみ行う民営化は、日本社会の現状を無視した、拙速・無思慮な悪政である」との自見元郵政相の言葉を敢えて紹介し、「理念無き郵政民営化に反対し、即刻廃案にすること」を要求するとともに、「即刻、小泉内閣の退陣を要求する」として討論を締めくくった。

 この後、郵政民営化関連法案は一括して採決が行われた。自民党からは造反議員が続出したものの、投票総数461票、賛成233票、反対228票の僅差で、かろうじて衆議院では可決された。
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