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2006/03/23
【衆院本会議】松本議員、行革法案の実効性を求め首相の見解質す


 衆議院本会議で23日、政府・与党が今国会の最重要法案と位置付ける行政改革推進法案が審議入りし、民主党・無所属クラブを代表して政調会長の松本剛明議員が質問に立ち、小泉首相はじめ関係大臣の見解を質した。

 松本議員は冒頭、「ムダを削ることは当然だが、政治の使命も果たさなければならない」と訴え、求められる「政治の使命」について、民主党は温かみのある政治をめざして、「こども」「たべもの」「たてもの」「のりもの」の安全を守り、国民の87%が格差拡大を実感する現状を憂い、機会の平等の確保とセイフティネットの再構築が必要との観点に立っていると主張。そのうえで松本議員は、行政改革の理念としての政治・政府の役割、本法案で何を「簡素で効率的」にしようとしているのか、具体的な説明を首相に求めた。

 首相は「簡素で効率的な政府の実現を喫緊かつ最重要課題のひとつと位置づけ、これを実現するため、政策金融改革、特別会計改革、資産債務改革、総人件費改革などを内容とする法案を国会に提出した」などと答弁した。

 行政改革の課題となる各分野についても、松本議員は質問。本法案で取り上げているのが「政策金融」「独立行政法人」「特別会計」「総人件費」「国の資産及び債務」の5つのテーマである点を指摘し、「いずれも重要だが、なせこの5つなのか。総理が思いつくままに取捨選択したようにも見える」として、5つに絞った真意を首相に質した。「これらの広範な改革を推進することにより、簡素で効率的な政府実現への道筋を確かにしていこうとしている」などと首相は答弁したが、真意は明確には示されなかった。

 また、「本気でムダを削るには、何よりも天下りと談合の問題に取り組むべき」と強調した松本議員は、民主党案の後追いのように示された与党の官製談合防止法改正案には「問題の根幹を改革する規定はない」と指摘。そもそも事業発注や天下り防止に取組む決意はないのではないかと首相に迫った。首相は「国民の批判は真摯に受け止めなければならない」としたが、与党の官製談合防止法改正案で十分とする認識を示すにとどまった。
 
 「真の政治改革を進めるには、政府が担う範囲を定め、業務の仕分けを行うことが第一」とも問題提起した松本議員は、本法案でも「事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分けを踏まえた検討を行ったうえで行政改革を行う」としている点に関連して、その仕分けはだれがいつまでに行うのか、行政改革推進本部の所掌事務に含まれるのか等を質した。同時に「本法案からは政治改革には分権が重要とする視点が窺えない」と指摘。分権を正面から取り上げなかった理由は何か首相に答弁を求めた。

 首相は、仕分けの具体的な作業については行政改革担当大臣を中心に各改革を具体化する過程で行われるもので、6月までに行政改革推進本部の議を経て方針を決定することとしているとの答弁だった。

 松本議員は続いて、特別会計改革を取り上げ、現在の31ある特別会計のうち3つを除きすべて廃止すべきとしてきた民主党のかねてからの主張を披瀝。それに対して本法案では「今後5年をめどに、現在31ある特別会計の数を半分から3分の1程度に削減する」としているに過ぎず、数値目標もなく、ほとんどの条文で「検討する」というあいまいな文言になっている点を問題視した。

 公共事業特別会計の問題に関しては、民主党案では何よりも国民・国会の目が届くようにして、ムダを排除すべく全て一般会計に統合したことを明らかにした。それに比べ、政府案では国土交通省各局別の状況から5特別会計に統合されはするが、引き続き省内に止まり、縦割りのまま、一般会計に統合されない状態のまま残されることを松本議員は指摘。「一般会計統合に踏み込むつもりがないのか」と強い口調で首相に問題提起した。

 道路特定財源制度については、「いまだその方向性がわからない」と指摘。「一般財源化を図ることを前提としつつ、具体策を先送りしている」との見方を示した松本議員は、具体的な内容の提示を首相に要請したが、首相は「一般財源化を図ることを前提とし、納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ具体案を得ることとする基本方針を政府・与党一体となって取りまとめた」と述べるにとどまり、具体案は示されなかった。

 独立行政法人改革をめぐっては、管理・設立についてのチェックが極めて緩い実情から鑑みれば、現行法制のベースではなく、ガバナンスを強化してより透明で効率的な運営に資する抜本的な制度改革をすべきだと、首相に問題提起した。あわせて国の資産および債務に関する改革については「膨大な借金は、自民党の長年の積み重ねの上に小泉政権下での大幅な積み増しに責任があることを自覚してほしい」と釘をさしたうえで、財政再建に向けて、国の資産処分、債務縮減に取り組むよう首相に強く求めた。

 公益法人制度改革については、「民が公の役割を担う非営利の分野で、多くの人が大いに活躍できる社会基盤の確立のため、大切なテーマだ」との見方を示したうえで松本議員は、ところが本法案ではそうした基本的・総合的な視点が欠けていると指摘した。

 最後に松本議員は、本日から行政改革の審議が始まったにもかかわらず、まだ国会にだされてもいない教育基本法の動向が取り沙汰され、会期延長にまで言及する向きがあるとして、「教育の課題は重要なものであるにもかかわらず、政局がらみで扱うことは許されない」として、政策本位で国会を進めるよう小泉首相に苦言を呈した。
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