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2005/07/11
【参院本会議】広野議員、テロ対策や郵政問題などで首相を追及


11日午後に開かれた参議院本会議の冒頭、郵政民営化に関する特別委員会の設置が、与党の賛成多数で決まった。続いて小泉首相がサミット報告を行い、民主党・新緑風会の広野ただし議員がこれに対する質問に立って、テロ対策や郵政民営化問題などに関する首相の見解を厳しく質した。

 広野議員は質問の冒頭、サミット初日に起きたロンドン同時多発テロについて「野蛮な残虐な攻撃を強く非難するとともに、犠牲者となられた方々、そのご家族に衷心から哀悼の意を表し、被害者関係者に心よりお見舞いを申し上げる」と述べた上で、国内のテロ対策などについて質した。小泉首相は、国際テロ組織による日本国内での具体的テロ関連情報は把握していないが未然防止に努めるなどと、危機意識の薄い答弁に終始した。

 続いて広野議員は、郵政民営化関連法案について、衆議院での採決は事実上の不信任であるとの見解を表明。選挙で公認しないなどの締め付け発言や、マスコミを使っての恣意的かつ強引な世論誘導が「小泉政権の本質」であるとして、首相に猛省を求めたが、小泉首相は「郵政民営化を実現することは、政治的にも国民に対する当然の責務」と従来の見解を繰り返し、衆院本会議の採決については「整然と可決されたと認識している」などと述べた。

 広野議員はまた、法案が参院で否決された場合の衆院解散・総選挙を示唆する首相の昨今の発言は「まったく筋が通らない理屈で、おどし・どう喝のたぐい」だと撤回を求めた。首相は、参院での審議に関して「衆議院での修正などを真摯に受け止め、理解を得るよう誠実に訴える」「否決されることは考えていない」などと答え、解散については「衆議院議員の身分を失わせる重い行為であることを認識しつつ、新たに民意を問うことの要否も考慮して、内閣がその政治的責任において決すべきもの」と強弁した。

 北朝鮮による日本人拉致問題について、広野議員は、テロにも匹敵する国家的犯罪だが、未だこう着状態であると指摘。日本の威厳を損ない被害者の心情をもてあそぶ北朝鮮の不誠実な態度に「強い憤りを禁じえない」と述べるとともに、拉致被害者のご家族の必死の座り込みを、「経済制裁で解決するという状況ではない」という一言で片付けた首相の冷淡な対応について、「我慢ならない」と強く批判した。広野議員は「小泉総理の日本の安全保障に対する切迫感のなさ」に強い憂慮を示し、当事者の日本は毅然と問題に対処すべきだと政府の取り組みを質したが、首相は「要素を総合的に検討しつつ検討する」などと答弁し、性急な解決が急がれるという姿勢を特に示さなかった。

 広野議員はこのほか、地球温暖化防止対策、日本の国連安保理常任理事国入り問題、日ロ・日中関係改善の方策などについて質し、郵政民営化にこだわる小泉首相が他の課題に対してリーダーシップを発揮せず、近隣諸国との外交関係の改善の問題などから目をそらして、忘れ去られるのを待つかのような態度に終始していると批判した。そのうえで広野議員は「民主党が政権交代を果たし、日本を根本から立て直すことが、まさに国民のためになる」と訴えて、質問を締めくくった。
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