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2005/07/13
【衆院厚労委】障害者自立支援法案可決 石毛・五島議員が質問


 障害者自立支援法案が、13日の衆議院厚生労働委員会で障害者団体のなどの傍聴者、野党の反対の怒号の中、与党修正され可決された。この法案は、障害者が受けるサービスを応能負担とするもので、党は修正協議を続けていたが、与党が基本的な部分での修正に応ぜず、協議は中止となり反対した。なお、「障害者の範囲の拡大、すべての障害者がサービスの提供を受けられるように普遍化すること」などを内容とする付帯決議が全会一致で採択された。

 採決に先立ち、石毛B子衆院議員が政府案に対して、五島正規議員が与党修正案に対して質問し、反対討論には園田康博議員が立った。

 石毛議員はまず、新しい法律には新しい哲学・理念が必要だとして、「新しい哲学・理念をもとに新しい制度つくろうとしているとは思えない」と根本的な批判を展開。また、「障害者が不安を覚え、反対行動をしている人が延べ2万人を超えている」ことを紹介し、「若年期からの障害者の皆さんは、所得確保の機会を奪われ、与えられなかった人。所得機会を保障する政策をとってこなかったことに対する反省がない。全ての障害者を平等と考えてはいけない。なぜ定率1割負担なのか。対等・平等になっていないにも関わらず、なったかのような前提の法律だ」と重ねて批判した。これに対して尾辻厚労相は、「いきなり理想的なものはできないので、一歩一歩進めていきたい」などと答えた。

 石毛議員は続いて、福祉サービスの利用者負担での減免措置の拡大、障害程度区分などについて質問し、尾辻厚労相は検討するなどと答えた。特に石毛議員は、移動の権利について、障害者が社会参加するために必要不可欠だとして、そのための長時間サービス・パーソナルサービスなどに関して後退することないよう求め、「請求権に基づく個別のものとして保障を」と訴えた。西副大臣は、「柔軟に対応したい」と答えたものの明言を避けた。また石毛議員は、「この法律で、地域から家庭・施設に単身の障害者が戻ることはないのか」などと質問した。これに対して厚労省の塩田障害保健福祉部長が、「都市部と地方ではばらつきがある」などと答えたため、石毛議員は大臣に答弁の確認を求め、尾辻大臣は「家族・施設に戻らないように単身も含めて」と答えた。

 こうした応答に限らず、他の質問に対しても「検討する」や「これから実態を調査する」などとする答弁が多く見られたため、最後に石毛議員は、「なぜ答えを躊躇するのか。予算に合わせた抑制的な法律だ。何を躊躇してこんな法律をつくったのか」と、財政当局に遠慮し、障害者の社会参加・自立を促す基本精神を失った法案に対して厳しく批判を加えて質問を終えた。

 続いて質問に立った五島議員はまず、障害者の苦難の歴史に触れ、「砒素汚染地帯には戸籍に載ってない人もいた。学校に行けない子どももいた。兵庫・大阪・和歌山で不幸な子を産まない運動もあった。措置の時代があり、障害者基本法ができ、障害者も社会の重要な一員として、権利となった」として、与党の修正で根本が変わったのかを質した。八代英太修正案提出者(自民党衆院議員)は、「私も障害者。水の冷たさは触ってみないと分からない。私も体験して知った。完全参加と平等、21世紀は万人のための社会にしなければならない。そのために障害者基本法の理念を目的の項に掲げた」と答弁。しかし五島議員は、「その思いに応え得る法案か。政省令に委ねる、これから検討する、との答弁ばかりだ。(先ほどの与党修正にかかわる)大臣確認答弁も、ファジーなものばかりだ。財政と協議が整っていないのか、説得できる自信がないのか。この法案には障害者の明日の生活の不安に関わるものだ」と厳しく批判した。

 反対討論に立った園田康博議員は、「施設と家族への責任転嫁だ。国の役割は障害者基本法の流れを加速すること。支援費制度が財政的に破綻しようしているとして、家族と本人に負担を押し付けようとしている。本来は所得補償を構築し、普遍化すべきもの。社会参加を営むことができるようなサービスが不明なのに、対価を要求している。障害者8団体の意見を何のために聞いたのか。与党による4項目の修正は形式的で不十分なもの。この法律の対象者は誰か。生命と尊厳を考えていない。当事者の立場に立ちこの法案を認めるわけにはいかない」と民主党の立場を鮮明に訴えた。
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