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2006/05/17
【参院本会議】千葉議員、代用監獄のあり方など厳しく質す


 17日午前、参院本会議において「刑事施設及び受刑者の処遇に関する法律一部改正案」(以下「刑事施設・処遇法改正案」)にたいする質疑が行われ、千葉景子参院議員(「次の内閣」法務大臣)が警察留置場を刑事施設として用いる代用監獄制度の廃止を目指す立場から代表質問を行った。

 同法案は、昨年成立した刑事施設・処遇法を改正して、警察留置場等を刑事施設(拘置所等)の代わりに用いる根拠を定めるとともに、警察留置場の運営や被収容者の処遇などについて定めるものであり、民主党は衆院において修正案を提出し否決されたので、本案に反対した。

 まず千葉議員は、今回の改正が未決拘禁者の処遇についての100年ぶりの改正であるので、無罪の推定を受ける未決拘禁者にふさわしい、国際基準を満たす法改正を期待していたが、政府の提出した改正案は代用監獄の永続化を図るもので期待はずれであると前置きして質問に入った。
 千葉議員は、日本の捜査における自白偏重の傾向に触れつつ、代用監獄制度が自白を強制する手段として用いられている恐れを指摘し、「冤罪」が後を絶たない原因を質問した。これに対して杉浦法務大臣は、一般論での答弁に終始した。

 千葉議員は、現在進められている大規模独立留置施設はむしろ拘置所と言うべきものであり、法務省に移管するべきだと指摘した。さらに千葉議員は、昭和55年の法制審議会の答申が被勾留者の警察留置場への収容を漸減すべきであるとうたっていることを引き、本法案にはそのための努力目標すらも示されていないことを衝いた。そして千葉議員は、代用監獄の漸減を図るために参院においても修正案を提出する意向を表明した。法務大臣も沓掛国家公安委員長も、大規模独立留置施設を含む留置施設の法務省への移管については、建設予算が自治体のものであることや警察独自の被逮捕者用の施設が必要となることなどをあげて、否定的な答弁を行った。法制審議会の答申について法務大臣は、代用監獄の廃止をうたったものでないとの見解を示した。また、代用監獄の漸減を法律に定めることについて法務大臣は、刑事施設の収容能力の向上に努めるとしつつも、財政状況を考慮すると非現実的であると答弁した。

 千葉議員は、実際の例を引きつつ捜査と留置の分離の現状を問い質すとともに、さらに分離について明文の規定を置くべきだとした。国家公安委員長は、現状でも分離は行われているとし、また今回の改正案の規定で十分であると答弁した。

 千葉議員は、自白の強要を防ぐためにも、今後行われる裁判員制度での判断材料としても、取調べの録音・録画などによる可視化が必要であることを強調した。これに対して、法務大臣は検察官取調べについて一部実施するとしつつも、慎重な検討が必要であると述べ、国家公安委員長は犯罪の検挙に支障を来たす恐れがあるとして、同様に慎重な検討が必要であると答弁した。

 千葉議員は、今回の改正案の中で弁護人と未決拘禁者との面会を中止させる条項があることを問題として指摘したが、法務大臣はあくまで刑事施設の規律を乱すような場合に限られ、弁護人との秘密交通権は侵害されないと答弁した。

 千葉議員は、法務大臣が就任直後に死刑執行命令書に署名しないとの発言をすぐに撤回したことを取り上げたが、法務大臣は著しく凶悪な犯罪についてはやむを得ないと答弁するのみであった。

 千葉議員は最後に、今後の代用監獄制度のあり方についてどのように検討していくのかを質問した。法務大臣は、司法制度全体の中で検討すると答え、国家公安委員長は治安と人権の均衡と調和を図る中で検討すると答弁した。
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