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1999/03/08
[参院予算委集中審議]集団的自衛権をめぐり激論/柳田稔議員
参議院予算委員会は8日、外交・安全保障をテーマにした集中審議を行い、民主党からは柳田稔、齋藤勁の両議員が質問した。


 柳田稔議員は大部分の時間をガイドライン関連質疑に集中した。柳田議員は「国連憲章51条に主権国家の権利として個別的・集団的自衛権を認めている。つまり国連加盟国はすべて集団的自衛権を有する。ドイツでは90年湾岸戦争に際してNATO域外であるトルコへ連邦軍派遣へと方針転換を行った。どうして日本では認めていないのか。世界の常識と日本の常識が大分違う」と集団的自衛権について、踏め込んだ判断をすべきと主張。

 高村外相は「日本とドイツを一概に比べられない。ドイツの場合は従来から集団的自衛権を認めていたし、トルコはNATO域内だ。域外派遣については、94年ボスニア危機の時に初めて連邦裁判決が出た」と反論。イラク危機に際してドイツ国内で集団的自衛権の論議・容認を行ったとする柳田議員に対して、高村外相は再び「このケースは集団的自衛権の行使に当たらない」とし、東郷・外務省条約局長は「国連のもとでの行動が『集団安全保障』。一方集団的自衛権とは友好国を助けるもの」であり「湾岸戦争については国連決議678(あらゆる手段を講じて侵略を阻止するとの決議)を根拠に『広い意味での集団安全保障』」と説明した。

 しかし、柳田議員は「個別的自衛権だけでは多国籍軍も国連軍も編成できない。各国が集団的自衛権をもって初めて可能。国連の常任理事国・安保理メンバーになっても、集団的自衛権の行使が出てきた場合対応できない」と主張。高村外相は「自らが軍事行動に参加できないからダメという法理はない。多数の国が憲法上の立場を知りつつ、日本の常任理事国加盟を支持しているという現実もある」と述べ、両者の見解はすれ違った。
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