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2005/07/15
【衆院本会議】園田議員、障害者自立支援法案への反対討論を行う


14日午後の衆議院本会議で、障害者自立支援法案と与党修正案について、民主党・無所属クラブを代表して反対討論に立った園田康博衆院議員は、障害者がようやく手にした「ひとすじの生きる権利」を奪いかねない法案の問題点を厳しく指摘。今こそ立法府が、その責任と権限において「大局的な見地から、障害者の命と尊厳、家族の生活を真剣に見つめ直し、障害福祉制度の普遍化と安定を築く時」であると訴えた。

 園田議員は冒頭、国の措置が限定的で、施設と家族へ責任が転嫁されてきた日本の障害者福祉施策の歴史に言及。「障害者基本法」の制定と「支援費制度」の開始によって「障害者の人権擁護と適正な医療の確保、社会復帰と社会参加の促進」に近づこうとする矢先に、提出された本法案は、「支援費制度の導入で地域生活がかなえられ、施設から出てこられたことを喜ぶ障害者を、再び施設に戻そうとしている」と非難した。

 園田議員は、サービス利用者が増加し、支援費制度に生じた財政問題について「それまでの措置制度の下で過剰なまでに抑制されていた障害者のニーズが、支援費制度の開始・定着に伴って顕在化したこと」、「行政が障害者ニーズを正確に把握してこなかったこと」に起因すると述べ、「サービス過剰」だとする見方を否定。「自己負担の導入による受給抑制効果を期待して、障害者自立支援法案を成立させようとするのは、時代を逆流させようとする暴挙」だと厳しく批判した。

 その上で園田議員は「国家の責任において、障害者福祉の理念を高らかに打ち上げ、障害者が社会の中でごく当たり前に生きていくための保障を構築し、制度を普遍化させていくことこそが喫緊の課題」だとの見解を示した。特に、政府は本来これから、全国に障害福祉サービスを供給する基盤を整備し、どこに住んでいてもサービスが受けられるように、支援費制度の総括をすべきにもかかわらず、中身が明確でない「自立した日常生活または社会生活を営むのに必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援」を行う見返りに、対価を要求しようとしていることには、極めて問題があると語った。

 民主党は、厚生労働委員会における審議などを通じて本法案の問題点を追及し、障害者施策の体系と法律案の骨格に踏み込んで、与党に修正を求めたが、修正協議においても、かんばしい回答が得られなかった。園田議員は、与党提出の修正案は「形式的で不十分なもので、法案の本質を改正するに至っていなかった」などと指摘。さらに園田議員は、委員会質疑の最終盤で、自立支援医療における更正医療や育成医療の利用件数、精神通院医療の課税世帯割合の数値に問題が発覚したと報告し、資料を提出した厚生労働省や、それをもとに答申を行った社会保障審議会の責任を討論において厳しく質した。

 園田議員は「本法律案の主人公は、障害を持ちながらも地域で一生懸命生きている障害者そのもの」「『障害者を社会の光に!!』この心を忘れてはならない」などと議場に集う人々に改めて訴え、「民主党は、障害当事者の立場に立ったとき、本法律案を認めることはできない」と言明。仮に成立した場合でも、政省令事項が定められる過程において、当事者の視点に立った監視をしつつ議論することを誓うと述べて、討論を締めくくった。

 このあと法案の採決が行われ、民主党は本法案及び修正案に反対したが、与党の賛成多数で可決された。
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