ニュース
ニュース
2005/07/22
【参院本会議】障害者自立支援法案への政府見解質す 平田議員


22日の参議院本会議で、障害者自立支援法案の趣旨説明と質疑が行われ、民主党・新緑風会を代表して、平田健二参院議員が質問に立った。

 平田議員は質問に先立ち、アスベストによる健康被害の問題に言及して「お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、ご遺族に哀悼の意を表し、健康被害を受けた方々にお見舞いを申し上げる」と発言。「政府の不作為は明らか」だと指摘し、民主党が「抜本的、総合的な対策の確立に向けて全力を挙げる」と表明した。

 平田議員はまず初めに「郵政民営化法案が参議院で否決された場合、衆議院を解散するつもりがあるか」と質し、首相は「最終的に法案の成立を期待しており、否決は考えていない」と答弁した。平田議員はこれに対して、国民にとっての優先課題は、郵政民営化でなく社会保障の充実だと指摘。障害保健福祉が「社会保障全体の改革を成功させるか否かの試金石」となるとの観点を示し、議題となった障害者自立支援法案について、当事者への説明責任、実態調査、支援費制度などについて質問を行った。

 平田議員は、法案が「障害当事者の声を必ずしも反映したものとはなっていない」と指摘し、十分な説明を行う責任についての認識を、小泉首相に質した。首相は、立案過程から審議会などの場を通じて意見や要望を聞いてきたと述べ、今後も関係者の意見を聞いて「改革の必要性について理解を得られるよう努力したい」などと答弁した。

 衆院での審議において、法案の裏づけとなる基礎的なデータの一部に誤りが指摘された問題について、平田議員は、「障害者施策の大転換を図る法案を提出する前に、障害者の実態を把握する調査を、まず実施すべきであった」と信憑性への疑いを述べ、首相の見解を問うた。首相は実態の把握について「実態を十分に踏まえた上で制度の内容について検討した」と表明。提出資料の誤りについては、障害者部会へ報告するなど「適切に対応した」と答弁した。

 平田議員はまた、定率負担の導入について「政府の怠慢を障害者に責任転嫁する以外のなにものでもない」と厳しく指摘。「障害者が利用者負担もまかなえ、自立した生活が可能な所得保障制度や、低所得者の負担軽減策が確立するまでは導入すべきでない」として所見を尋ねた。小泉首相は、「利用者も含めて皆で増大する費用を負担し、支えあうことが必要」「軽減措置を講ずることとしており、生活に支障がないよう配慮する」などと首相は弁明。尾辻厚労相も「障害者福祉施策をより推進するために必要不可欠な見直しであり、必要な財源を確保しながら、制度をより安定的に運用できる」との見解を示した。

 平田議員は最後に、法案に「負担増による財政的抑制論ばかりが目立ち」、「福祉サービスを市場で購入するかのごとく錯覚」すると改めて指摘。障害者の実態を把握し、対象範囲、所得保障、政省令事項などの問題点を十分に審議するように求めて質問を終えた。
記事を印刷する