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2005/07/26
鳩山ネクスト外相、イラク問題・北朝鮮問題など首相の認識不足衝く




26日午後、衆議院本会議において小泉首相のグレンイーグルズ・サミットの報告に対する代表質問が行われ、民主党・無所属クラブを代表して鳩山由紀夫『次の内閣』ネクスト外務大臣(元代表・衆院議員)が、イラク問題・北朝鮮問題・米軍再編問題などについて、首相の認識不足を厳しく衝いた。

 冒頭に鳩山議員は、郵政民営化法案の成立をはかるために党内への締め付けを強化し、衆院解散まで示唆している首相に対して、もし法案が参院で否決された場合には内閣総辞職して野党に政権を明け渡すことが「憲政の常道」であると諭した。更に鳩山議員は、解散を主張する首相を支持すると畳み掛けたが、首相は正面からの答弁を回避した。

 鳩山議員は、ロンドンでの同時多発テロがイラク戦争と関連があることを指摘しつつ、テロの脅威について質問したが、首相は具体的・効率的な対策を総合的にすすめるとの抽象的な答弁をするにとどまった。

 イラク問題について鳩山議員は、戦争中よりも戦後の方が死傷者数が多いという泥沼化の現実を指摘し、そもそも派遣要件を満たしていない自衛隊が、このような状況下で派遣延長することはあり得ない話だと詰め寄った。これに対して総理は、自衛隊の活動は評価されており、自主的な警戒や安全確保措置で対応できるという極めつけの楽観論で対応した。

 また、イラク問題に起因して高騰している原油価格が、わが国経済に与える影響についての質問に対しても、首相は1970年代の石油危機時に比べてエネルギー効率は向上しているので、影響は小さいとの楽観的な認識を示しつつ、総合的な取り組みを行うという抽象的な答弁で対応した。首相はテロ対策についても一般的対策を羅列するにとどまり、真のテロ対策は憎しみの連鎖を断ち切ることにあるとする鳩山議員の認識に対応する答弁は行われなかった。

 北朝鮮をめぐる六カ国協議に関する鳩山議員の質問に対して首相は、拉致問題を解決するための経済制裁は、あくまで一つの可能性であって、まず経済制裁ありきではないと消極的な答弁に終始し、国益とは何かの説明を求める鳩山議員に対して、正面からの答弁は行われなかった。

 鳩山議員は、米軍再編は、沖縄をはじめとする「負担の軽減と抑止力の維持」であるはずにも関わらず、現実には陸軍第1軍司令部の座間移転に見られるように、北朝鮮・台湾そして世界全体を睨んだ抑止力の強化になっていると指摘し、更に日米地位協定の改定についても独立国として明確な答弁を求めた。これに対して首相は、在日米軍のあり方については9月を目処に結論を出したいと明確な答弁を避け、また地位協定については運用によって対応したいという消極的な姿勢に終始した。国連常任理事国入りについても、努力していること以上の明確な方針は示されなかった。

 鳩山議員は、代表質問の最後で首相に対し、今の政治こそ混乱の極みなので、安心して解散を実行されるよう願うと述べて質問を終え、大きな拍手を浴びた。
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