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1999/04/01
衆院ガイドライン特別委総括質疑/前原誠司、上原康助議員が質問
●例外のある事前協議では信頼できない
前原誠司衆議院議員

 4月1日の衆議院の日米防衛協力指針特別委員会で質問に立った前原誠司衆議院議員は、まず日本海で発生した北朝鮮の不審船事件に関連して、「政府は不審船を工作船と断定したが、活動の実態をどこまで把握しているか」と尋ねた。

 野田自治相は、これまでに50件の検挙例があるとして、「現在も相当数の工作員が活動していると推定される。対韓国工作の拠点、在日米軍の情報収集、拉致などの目的が考えられる」と述べた。


 前原議員は「北朝鮮のミサイル開発や地下核施設疑惑などの情報の中で、万が一第2次朝鮮戦争が勃発したら、日本がそれを周辺事態と認定し、後方支援するとき、それは在日米軍基地を中心とした日本有事になる可能性は極めて高い」と述べたが、小渕首相は「朝鮮有事を仮定して話すのは困難」とこれまでどおり答弁を避けた。
 
これに対し前原議員は「仮定の話ではない。本質的な部分だ」と述べ、「北朝鮮が日本の事前協議で米軍に協力するのか注目し、日本に届くミサイルがあると脅されても、日米安保の必要性を主張し、毅然ニした態度で臨めるのか」「一番国民が知りたい問題だ」「近くに危険がある中で、総理が決意を示さないと説得力はない」と、抽象的な言葉を重ねるばかりの首相に重ねて迫ったが、納得できる答弁は最後まで聞かれなかった。

 続いて前原議員は、1960年1月の新安保条約締結後に対日政策について書かれた米国国家安全保障会議(NSC)の文書に、「朝鮮国連軍として活動する米軍が出撃する場合は事前協議の対象外」と例外規定があることを指摘。しかし竹内・外務省北米局長は「米国政府の内部文書であり、政府として答弁する立場にない」とし、高村外相も「事前協議で密約は一度もしていない」と否定するばかり。

 これに前原議員は納得せず、沖縄返還当時の1969年に佐藤栄作元首相が「万一韓国に武力攻撃が発生し、これに対し米軍が日本の基地から発進する場合には、日本政府は事前協議に対して前向きにすみやかに対処する」と発言したことも指摘し、「これでは事前協議に対する信頼を持てない」と主張した。


●事前協議制度はすでに形骸化?
上原康助衆議院議員

 午後から質問に立った上原康助衆議院議員は、在日米軍に対する従来の事前協議制度について、新ガイドラインでは従来の関係が形骸化された、として政府を追及した。それに対し高村外相は「基本的な変更はない」と答弁。上原議員は反論して「新ガイドラインでこの条文を落したのは、事前協議が形骸化したためだ。今日的な視点に立って検討が必要、との97年4月の橋本前首相の答弁もある」と食い下がった。

 それに対して小渕首相は「安保条約の法的枠組みは、引き続き1960年の改定に基づく」との認識を示し、高村外相は「事前協議については、アメリカから提起が日本に対してない限り何もやれないとの前提で考えている」と強弁した。

 上原議員は「その論理なら、アメリカが何も言ってこない限り、自由勝手に使ってもよいことになる。冷戦下の思考を引きずっている。」と米軍の活動に対して主体的な判断を確保すべきと再度政府に求めた。


 次に米軍の基地・施設使用の位置づけについて、新ガイドライン法案で「新たな施設区域の提供を適時・的確に行うとともに、米軍の自衛隊施設、民間空港・港湾施設の一時的使用を確保する」としているのに対し、上原議員は「これはどのような基準で、どこで決めるのか」と追及した。

 竹内北米局長は「日米地位協定2条4項Bによる民間施設の共同使用は現在でも3件しかなく、今後、一時的使用の可能性は極めて少ない」と答弁した。

 上原議員は「民間施設使用に関して、運輸省などとの調整があるか」と確認したのに対し、川崎運輸相は「実態として日米地位協定に基づく民間施設使用は考えにくい」との考えを示した。


 また上原議員は「議論の前提となる資料がないまま新ガイドラインの議論が行われている」として、「日米合同委員会」の開催回数・議事概要および最近各種マスコミで報じられた「防衛庁による1059項目の支援内容」について、資料を委員会に提出するよう、政府に対して強く要求した。野呂田防衛庁長官は「作業部隊の第一線の議論があったようだ」としたが、日米間の論議の事実は否定し続けた。
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