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2005/07/29
【参院郵政特】高橋・内藤両議員、参考人質疑通じ法案の問題点追及
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参議院郵政特別委員会は29日、郵政民営化法案に関する参考人質疑を行った。民主党・新緑風会からは午前は高橋千秋議員、午後は内藤正光議員が質問に立ち、参考人の慶應義塾大学教授の榊原英資氏、エコノミストの紺谷典子氏、八千代町議会議長の稲葉常美氏、長野県泰早村長の松島貞治氏等から意見を聴取した。
午前中の質疑に立った高橋議員は衆参を通じた審議での印象として「未だに何のための民営化かわからない」と指摘。竹中郵政民営化担当相の答弁で「想定される」「省令で決めていく」「経営者の判断にまかせる」との言葉が頻発されている点が象徴するように、あいまいな郵政民営化法案を成立させることに不安を禁じえないとする立場を表明した。
榊原参考人は国会答弁があいまいに終始している理由として、「理論的に無理なことをやっているから」とする見方を提示。郵便サービスなど国民に必要な公共財は本来民営化できず、官が提供するのが経済理論であるにもかかわらず、無理やりねじ曲げる形で民営化を進めているために論理性を欠く状況を招いていると榊原参考人は分析し、「名ばかりの民営化で実質上は民営化でない法案になっている」と断じた。多数の省令・通達に委ねている点も極めて問題だとし、「こうした法律を出すことは無責任だ」と語気を強め、政府の無責任ぶりを批判。郵政民営化法案を「百害あって一利なし」と指摘した。
紺谷参考人は「行財政改革を行うというのであれば将来ビジョンに基づく現状分析が先」と述べた上で、民営化が自己目的化し、はじめに民営化ありきで法案ができあがった経過を問題視した。「財投債の分配する権限を握り、省庁まで支配し、金融不安、税収不足を引き起こした責任をとっていないのが行政の最大の問題。その行政の問題を正すために郵便局を民営化するとどんな効果があるのか」と皮肉った上で、郵政民営化は行政の責任をうやむやにするに過ぎないと指摘。「これは行政改革ではない」と紺谷参考人は断じ、郵政民営化断固反対の姿勢を表明した。
午後の参考人質疑に立った内藤議員は冒頭、「郵便局は特に地方の人びとにとってなくてはならないもの」とする見方を示したうえで、稲葉参考人、松島参考人それぞれに、地域の日常生活のなかでの郵便局の役割を質した。
稲葉参考人は、「八千代町が合併しない道を歩んだとき、新しい建設計画のなかで全体を見直すことから始められ、今後は試練が待ち受けている」とした上で、町にとっても住民にとっても現行の郵便局が果たす役割は非常に大きいとの見方を示した。
松島参考人は自家用車などを持たない高齢者の買い物をどうするかが村としての懸案事項であることを明らかにするとともに、「(村では)生きていくことが大変」と説明。そうした観点からも郵便配達を通じて行われることになる高齢者の安否確認や山奥の交通事情や環境変化の確認等は、大変重要であるとした。また、銀行等がない地域社会にあって、JAと郵便局等だけが金融機関として地域住民の生活に欠かせない存在であるとした。
内藤議員は「オーバーバンキングといわれる日本のなかでなぜ5つ目の超メガバンクを誕生させなければならないのか」と問題提起し、郵便局の預け入れ限度額を下げるなどして、民間との直接競合を避ける形を整える一方でユニバーサルサービスの義務付けを行うべきとの考えを改めて示した。
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