民主党の中野寛成代表代行は10日の衆議院本会議で小渕総理の所信表明演説に対する代表質問に立った。
中野議員はまず、「直近の民意に従えば、参議院での菅直人代表の総理大臣指名が国民の意思。衆議院でも自民党は一昨年の総選挙で過半数を割りながら、野党議員の取り込みで過半数に達した」と指摘。「この国難を克服するには、国民に信頼された政府が必要」として衆議院の解散、総選挙を要求した。
金融不良債権問題については、「製造業は厳しい競争にさらされながら日本経済を支えてきたのに対して、多くの金融機関は大蔵省と癒着し、強い規制によって庇護されてきた」として、「金融機関の経営情報は徹底的に開示し、不健全な金融機関は破綻させて関係者の責任を徹底追及することが金融安定化のために不可欠」と主張。さらに中野議員が「大手銀行で債務超過の銀行は本当にないのか」と迫ったのに対して、小渕総理は「大手19行の平成10年3月期決算によれば債務超過に陥っている銀行はない」と答えた。
宮沢喜一元総理の蔵相起用については「宮沢議員は86年7月から88年12月まで大蔵大臣を務めたが、この時期はまさにバブル経済が発生した時期ではないか。さらに総理大臣を務めた91年11月から93年8月まではバブル経済が崩壊し不良債権問題が発生した時期ではないか。宮沢議員は不良債権問題のA級戦犯というほかない」と断定。
「マックス・ウェーバーは『最良の官僚は最悪の政治家である』と言ったが、宮沢蔵相ほどこの言葉があてはまる人物は他にいない。宮沢総理、三重野日銀総裁が引き起こしたMM(エムエム)不況は今日の経済危機、社会的衰退のさきがけとなった」と批判した。
小渕総理は「宮沢蔵相が最適任と考え、お願いした」と答えるにとどまった。
政府の減税案については「所得階層別の定率減税では恒久減税とは言えず、低所得者には増税」と指摘した。小渕総理の「所得課税の抜本的見直しを展望しつつ、期限を定めない恒久的な減税を実施する」との苦しい答弁は議場の失笑をかった。
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