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1999/05/28
[衆院行革特別委]巨大官庁・国土交通省は行革に逆行/ 参考人の五十嵐敬喜・法大教授が反対論
衆院行政改革特別委は28日、参考人質疑を行い、午前と午後に分けて、民主党推薦の北村喜宣・横浜国立大学経済学部助教授、五十嵐敬喜・法政大学法学部教授など合計8名から意見を聞いた。

 午前中は地方分権一括法案についての意見を聴取。北村氏は、「地方自治体が行う自治事務に対して、国が是正を求めた場合、自治体が従わなければならないという新たな規定は、地方分権の精神に反するものだ」と述べた。

 質問に立った伊藤忠治議員は、まず地方分権推進委員会の諸井虔委員長に、「中央省庁のどの仕事を分権するかの精査は、推進委ではどのように行われたのか」と質問。諸井氏は「具体的に個々のどの課や係を削減するかは各省庁に任されて判断されるもの。個々の分掌までは私たちはやっていない」と答えた。

 また地方への財源移譲について、伊藤議員が見解を求めたのに対し、諸井氏は「国と地方の仕事と税収のアンバランスは中長期的にいって改善すべき。その方向として偏在性の少ない安定性の高い税金を地方に持ってきてもらいたい」と述べたが、具体的な税金の内容については「具体的に述べる権限は持っていない」とした。

 午後からは中央省庁改革法案についての聴取が行われた。五十嵐氏は「建設省や運輸省が一つになり、設置される国土交通省は公共事業が集中する巨大官庁になるが、これは簡素で効率的な組織にする行政改革とは相容れないものだ」として、国土交通省はつくるべきでないと主張した。

 質問者として中川正春議員が立ち、まず今回の行革のプロセスへの評価を尋ねた。五十嵐教授は「アメリカにおける行革では各地でヒアリングをした。日本の場合、市民がもっと関心を持つようにすべき」と指摘した。一方、加藤秀樹・慶大教授は「いきなり本丸を攻めるか、外堀・内堀の順に攻めるか、少し回り道するかの差だ」と一定の評価を示した。

 続いて公共部門の独立行政法人化問題について、中川議員はイギリスのエージェンシー制度を例に「徹底して行うべき」と述べたのに対し、五十嵐氏は「経営状況などを情報公開した上で一旦期限付きで完全民営化し、必要なものだけ元に戻すのも一例だ」と述べた。
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