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1999/12/14
<参院財政・金融委>商工ローン証人喚問で櫻井、浅尾両議員が追及
各地で事件や訴えが表面化している商工ローン問題で、日栄の松田一男社長と商工ファンドの大島健伸社長に対する証人喚問が14日、参議院財政・金融委員会(委員長=平田健二参議院議員)で行われた。民主党・新緑風会の櫻井充議員と浅尾慶一郎議員は厳しく両社の反社会的な活動を追及した。


 午前中行われた松田社長の証人喚問で櫻井議員は、松田社長の名が記された「支店の年末対策について」と「四月の切り返し交渉について」と題した内部文書を取り上げ、「あなたは前回11月の参考人招致の際、取立ては会社ぐるみでないと発言しているが、自ら陣頭指揮に立って強引なやり方を押し付けているのではないか」と迫った。

 だが松田社長は、「全国支店長会議で激励はしているが、具体的な指示は営業統括本部が行っている」と責任を回避。マスコミなどで多く取り上げられた、同社長が現場に直接取立てを強制しているとの元社員の証言とはまったく異なり、「営業統括本部」に責任を転換する姿勢を示した。

 また櫻井議員が「新聞では社長が社員を集めて檄を飛ばした際、反抗的な社員二人を殴ったと報じられている」と質問したことについても、「事実無根」と突っぱねた。

 続いて質問に立った浅尾議員は、「日栄の元取締役が大分地裁で、保証人に本当のことを言うと誰も保証はしないから本当のことを言わない≠ニ宣誓の上証言している。事実だから、この証言に抗議したり告発できなかったのではないか」とただした。これについて松田社長は、しぶしぶながら「告発を検討する」と返答した。

 さらに浅尾議員は、「今年三月に日栄から、同社への債務保証を担当するとされる日本信用保証株式会社に出向した社員の給与明細を見ると社員コードは同一。結局、両社は同じ会社ではないか」と追及したが、松田社長は「ややっこしいからそうしたまで」とあいまいに答える一方で、「あくまで別会社。親会社としてアドバイスするだけ」と突っぱねた。

 続いて午後には、大島社長を喚問。櫻井議員は、「仙台地裁で係争中のケースで、債務残高が6500万円ある債務者に、事実を記入させず500万円を追加融資している。意図的に事実を伏せさせ、契約しているのではないか」とただしたが、大島社長は「係争中のことは裁判所の判断にゆだねる。事実を記入するよう伝えている」とだけ答えた。

 次に浅尾議員は、「日栄は脅迫的な取り立てが特徴だが、商工ファンドは法の網をくぐるような悪質なやり方だ」と強調しながら、「自ら営業7割を新規獲得にあてるよう指示しているが、これは既存の借り手にこれ以上融資すると破産するからではないか」と質問した。だが大島社長は、「過剰融資を避けるための措置で、広く浅くが融資の基本」と述べるのに留まった。
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