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1998/09/25
予算委では峰崎直樹議員が追及/「金融庁」党首間の確認事項にない
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参議院では25日、午前の本会議につづいて午後には予算委員会が行われ、民主党の峰崎直樹議員が金融再生法案に関する問題を集中的に質問した。
峰崎議員は「アメリカに向かう機中、総理は『長銀を破綻させずに住信と合併させたい』と言ったのか言わないのか」と迫り、小渕総理は「住信との合併が望ましいという意味で言った」と認めた。峰崎議員は「党首会談で合意した『特別公的管理等』の『等』の理解が違うのではないか」と指摘した。
18日の党首会談確認事項では「長銀問題については、実務者協議で合意した事項(別紙)に沿って、特別公的管理等で対処する」とした。別紙とは「金融危機管理対策の概要」で、Tの「野党3党提案の4法案を基礎に、以下の点…の共同修正を行う」という項目と、Uの「…金融システムの早期健全化スキームを、早急に検討する」の項目に大きく分かれている。このうち、Tの中の「金融再生法案の修正について」との項目の1で「…特別公的管理等の開始を行える旨の規定を…規定する」としている。峰崎議員は「実務者協議ではこの『等』について、「特別公的管理もある、ブリッジバンクもある、清算する方法もあるという意味の『等』だとされた。しかし総理の目は『U』を向いているようだ」と指摘した。
Uは貸し渋り対策などの重要性から、同「概要」の最後につけ加えられたが、Tの破綻処理に係わるスキーム作りが優先されるという合意であった。しかし、小渕総理は長銀に対してUの早期健全化スキームを適用する方向に合意内容を歪曲しているのではないか、ということだ。
○合意したはずの「新枠組み」の説明もできず
峰崎議員は再三説明し、総理の見解を求めたが、小渕総理は「長銀は与野党合意した新しい特別管理の枠組みのもとで対処する」との棒読み原稿を繰り返した。宮沢蔵相は「実務者間の合意には二つあって、その後の各派の交渉を見ているとUは後回しにしようと、それ以外について今、協議していると理解している」と答弁したが、小渕総理は峰崎議員の「新しい枠組みとは何か」との質問にも「現在、政策担当者間で協議しているので具体的な姿を提示することは不可能」と答える始末だった。
財政と金融の分離に関する合意について小渕総理は「党首会談で私から口頭で『金融再生委員会設置に伴う財政・金融の完全分離及び金融行政の一元化については省庁再編の設置法を成立させ、可能な限り早急に実現する』と言って、金融庁の設置の中で実現するとした」と述べた。峰崎議員は「党首間の確認事項に金融庁とか中央省庁再編なんてことは書いていない。確認事項に誤りがあるなら直さなければ与野党協議は前に進まない」と迫ったが、小渕総理は前言を繰り返しただけだった。
○クリントン大統領の発言も明かさない
また、峰崎議員は日米首脳会談の内容を明らかにするよう求めた。
小渕総理は「クリントン大統領は存続可能な銀行を適切な条件の下、充分な額の公的資金によって支援する必要性を強調され、私は金融システム全体の包括的な安定性を揺るがせないとの決意を申し上げた」との答弁を本会議でも予算委でも繰り返すのみで、3時間の会談内容を具体的に説明しなかった。
峰崎議員は「存続可能な銀行とは何か。アメリカは公的資金を投入する条件を示したのではないか。破綻させるべき銀行は破綻させ、存続させるべき銀行は支援するという考え方だ」とただしたが、小渕総理は「厳しい環境にある日本の金融機関のこと」「私から申し上げる立場にない」と、まったく答えなかった。
峰崎議員は「存続可能な銀行」「公的資金による支援」とされているクリントン大統領の発言について、英語で何と言ったのか明らかにするよう要求したが、小渕総理は「外交上のやりとりを詳細に公にすることは適切でない」として拒否した。
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