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1998/10/07
[参院金融特]小宮山、小川敏夫、浅尾議員が質問


 参議院の金融問題・経済活性化特別委員会は7日も金融再生法案の審議を続行。民主党・新緑風会からは先の参議院選挙で当選した小宮山洋子、小川敏夫、浅尾慶一郎各議員が質問に立った。

 質疑を通じ、与党が同日衆議院に提出した「金融機能の早期健全化のための緊急措置法案」について、「金融再生法案で廃止するとしている金融機能安定化法とほぼ同じ趣旨の法案。これが成立すれば、長銀救済が可能になる」(枝野幸男衆議院議員=金融再生法案提出者)との問題が焦点となった。

 民主党は5日、不良債権処理、情報公開、経営責任明確化などを前提に、存続可能な金融機関の経営健全化のため公的資金投入を認める「金融健全化対策」をまとめたが、自民党はこれらの前提なしに金融機関の延命を図る「早期健全化スキーム」を法案化、提出した。


●小宮山洋子議員「消費者守る金融行政を」

 小宮山洋子議員は「消費者、納税者の立場から質問する」として、「専門家向けの経営内容の開示も必要だが、国民に分かる形で評価する第3者機関も必要」「金融ビッグバンによってこれから様々な金融商品が出てくるが、消費者のために商品を比較できる機関も必要」「政府の政策を一般国民が評価する制度を」と提案した。

 また、小宮山議員は「不動産など大きな担保を持たない起業しようとする個人、特に女性への融資がスムーズに行われるよう、信用補完などの仕組みを早く作るべき」と主張。「2001年4月からペイオフ(破綻金融機関の預金払い戻し)が始まるので、それまでに十分な説明と情報提供、判断できる力をつけるための消費者教育が必要。業界を守る省庁は多いが、消費者を守る省庁が行政の中でも必要」との主張に対して、宮沢蔵相は「同感する」と答えた。


●小川敏夫議員/長銀公的支援、蔵相は否定

 小川敏夫議員は宮沢蔵相に対して「今の時点で長銀に公的資金を投入する考えはあるか」と質問。蔵相は「長銀が住友信託銀行と合併する案を金融監督庁に持ってきた時は、そのために公的支援する価値があると判断したが、その後、党首会談などで長銀には今考えられているスキーム(金融再生法案による破綻処理)を、と変わってきた」と答弁。小川議員が「将来できるかもしれない早期健全化スキームで公的資金を投入することはあるのか」と詰めると、蔵相は「そういうことはないと思う」と答えた。

 法案提出者として答弁した枝野幸男衆議院議員は「私たちの法案が成立するまで存在する金融機能安定化法に基づく13兆円の枠から長銀に公的資金が投入されることがないようにと、担保をとって衆議院での与野党折衝をしてきた。しかし、今日、与党が衆院に提出した早期健全化法案は、廃止する金融機能安定化法とほぼ同趣旨であり、これを長銀に使わないということを総理の政治的発言などで担保しない限り、13兆円枠と同じ公的資金が長銀に入れられる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。


●浅尾慶一郎議員「長銀への公的資金返却を」

 浅尾慶一郎議員は法案提出者の枝野幸男議員に早期健全化法案についての見解を確認した。枝野議員は「これが成立するようなことがあれば、従来政府が考えていた長銀救済スキームが法的に可能になる。今審議中の金融再生法案と矛盾する」と強調した。

 これに対して宮沢蔵相は「常識的に私はそのように思っていない。早期健全化の努力を各党がしてきたが、それが長銀を救うための努力とは考えてこなかった」と否定した。

 また、預金保険機構が3月に長銀に公的資金を注入した際、1300億円の優先株と466億円の劣後ローンを購入しているが、浅尾議員は優先株については長銀株の暴落で評価損を出していることを指摘する一方、「劣後ローンは劣後事由(会社更生法申請または破産)がない場合は返してもらうという理解で良いか」と質問。預金保険機構の松田理事長は「ご指摘のとおり」と答えた。
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