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1998/10/12
金融再生法が成立/野党提出、与野党共同修正で前例ない成果
 参議院本会議は12日、金融再生法案を可決。野党3会派が提出し、与野党が共同修正した法案を成立させるという前例のない成果を挙げた。

 本会議採決に先立ち、民主党・新緑風会の直嶋正行議員が自民党、民主党・新緑風会、公明、社民党・護憲連合の4会派を代表して賛成討論を行った。

 直嶋議員は「今回、与野党の若手議員が官僚に頼らずに緻密な法律を作り上げたことは、これからの政治のあるべき姿に道を示した」と評価し、法案に賛成する理由として「第一に6つの明確な原則により、不良債権問題を先送りせず、2001年3月までに破綻処理を実施する」と指摘した。

 6つの原則とは、(1)破綻金融機関の経営情報開示(2)経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させない(3)株主・経営者責任の明確化(4)預金者保護(5)金融仲介機能の維持(6)破綻処理費用の最小化――と示した。

 賛成理由として「第二に、破綻処理スキームに、金融整理管財人による管理、公的ブリッジバンク、特別公的管理の3種類の枠組みを用意した。大手銀行の連鎖破綻にも対応でき、銀行のモラルハザード(道徳喪失)を防ぎつつ預金者や健全な債務者、金融システムを守ることができる。第三には、国家行政組織法第3条に基づく金融再生委員会を設置し、破綻処理、金融危機管理を行う。さらに財政と金融の完全分離に向けて踏み出した」との点を挙げた。

 直嶋議員は衆議院で審議中の「金融機能早期健全化法案」についても触れ、「この難局を乗り切るためには思いきった措置が必要。金融機関の経営実態開示、国民への十分な説明をした上で公的資金を投入すべき」と主張。「問題の先送りはもはや一切すべきではない。わが国金融の危機的状況から一刻も早く脱却できるよう、早期健全化について関係者の一層の努力を期待する」と結んだ。
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