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1999/11/17
<第2回クエスチョンタイム>鳩山代表が介護保険見直しのでたらめさ突く
野党党首と小渕首相が直接討論するクエスチョンタイム(党首討論)の第2回目が17日、参議院第一委員室で開かれた。第1回目同様、民主党から鳩山由紀夫代表が26分の持ち時間で、警察の不祥事や自自公政権、介護保険問題を取り上げ、論戦を挑んだ。


●責任を感じない「人ごと総理」

 鳩山代表は、まず最初に警察の不祥事問題を取り上げ、「国民が一番不審に思っているのは、『結局、お巡りさんはつかまらないんですね』ということだ」と口火を切った。小渕首相は、「今回警察で起こった不祥事は言語道断。行政の最高責任者としては看過できない問題」だと答えたが、鳩山代表はさらに「言語道断とおっしゃるならご自身の責任はどうなのか。国家公安委員長の罷免はしないのか」とさらに突っ込んだ。

 首相が「(情報が)上がってこないシステムも問題だ。再発しないよう対処するのも責任の取り方」と述べると、鳩山代表は「まるで人ごとのような話で『人ごと総理』と申し上げなければならない。書類送検だけで逮捕もされない」と批判。首相は「総理が逮捕を命ずることは民主主義の基本に反する」などと筋違いな反論をした。


●自自合流話は、政権の末期症状だ

 次に、「自由党と自民党との合流話をもちかけたのは、首相か、小沢党首か」と鳩山代表がただしたのに対し、小渕首相は「私は働きかけたことはない」とはぐらかしたが、鳩山代表は「政策の一致ができないから合流するという話が出てくること自体、政権の末期症状だ。小泉(純一郎)さんは『笑っちゃう』とまで言っている。小沢氏に振り回されている首相や自民党に問題があるのでは」とさらに追及。

 首相は色をなして「すべての政策が一致すれば党が分かれている必要はない。全部一から百まで一致しなければ連立が組めないとすれば、それはできかねることだ」と開き直った。鳩山代表が「もし自由党が補正予算案に反対することになれば、政権与党の中にいることはないのが当然ですね」と迫ると、首相は「3党で提出できる態勢ができると確信している」と言い逃れた。


●自民党パンフでは自自公政権は違憲?

 鳩山代表は、3年前の衆院選の時に自民党が作ったパンフレットの中に「一宗教団体が支配する政党が政権を握ったり、ましてやその宗教団体の指導者によって、政権の一挙手一投足が左右されるという事態は、憲法20条に定める『いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならない』に明らかに違反します」と書いてある事実を指摘し、「書いてあることを当てはめれば自自公政権は憲法違反ではないか」と攻撃した。小渕首相は「政治の世界ではいろいろ変化がある」「当時はそういう考え方が党の大勢で、そうした建前で選挙を戦ったのは事実だ。しかし、現在、公明党は憲法20条に全く違反するものではないという認識に小渕内閣は立っている」と弁明に追われた。


●保険料凍結は国家権力による自治体への暴挙

 続いて、鳩山代表は介護保険制度見直しの与党合意に言及。「これが(市町村の)自治事務であることをご存じか」と首相の認識をただした上で、「新しい地方分権の時代を、この介護保険から切り開いていくという勢いで、市町村長や知事が非常に努力してきた。そうしたら突然、国家権力が介入し、保険料凍結をする。国家権力による自治体に対する暴挙だ。法律違反だ」と厳しく批判した。

 首相は「究極的には介護を受ける方々には理解してもらえると思っているし、地方自治体でも来年以降、3年間の保険料を決定するにあたって、国としての方針が出れば協力いただけるものと努力する」と述べたが、鳩山代表はすかさず「保険料決定、と発言したが、税方式はなくなったと解釈していいのか」と、自由党の主張とのずれをとらえて問いただしたが、首相は「財源は今、3党間で検討中で、補正予算の段階で結論をつけなければならない」と述べるだけだった。


●9000億円の借金は未来へのつけ回し

 鳩山代表は「保険料の徴収を遅らせることで、9000億円の借金を未来の世代につけ回すことになる。国民は怒り心頭に発している」と、財政の健全化と絡めてさらに追及したのに対し、小渕首相は「確かに財源は国債に委ねざるをえないから、当然、後世につけを回すことになるが、新しい制度にスムーズに入っていくためにはやむをえない」と開き直りとも取れる見解を示すだけだった。

 また、鳩山代表が「小渕首相が就任後、首相の判断で増えた借金は50兆円だ」と述べると、首相は「民主党は国債の発行を認めないで、景気回復をどうするのか」などと揚げ足取りのような極論を持ち出す始末だった。

 最後に、鳩山代表は来年7月の沖縄サミットについて、東アジア、北東アジアの平和の礎を築くために、中国の江沢民国家主席と韓国の金大中大統領をゲストとして招くよう提案し、質疑を締めくくった。


●誰から見ても数合わせ印象づけたい=鳩山代表

 討論を終えて、国会内で記者会見した鳩山代表は、「初回に比べ、2回目はお互いに余裕ができたと思う。これからも、自自公政権が誰から見ても数あわせだと印象づけていきたい」と述べた。また、討論の方法について鳩山代表は、「立ったまますぐ発言できるようにした方がいい」と要望を示すとともに、「いずれにしてもコンパクトにしっかりとしたメッセージを出せるよう、こちらの工夫が肝心だ」と述べた。
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