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1999/10/01
東海村放射能漏れ事故で緊急事故調査団派遣 鳩山代表を先頭に
 民主党は、茨城県東海村にある核燃料加工工場で30日に発生した放射能漏れ事故が深刻な事態であると受け止め、同日深夜、鳩山代表を本部長とする「東海原子力事故対策本部」を急きょ設置した。

 同本部は1日、鳩山代表を団長とする「緊急事故調査団」を現地に派遣し、地元関係者の切実な声を直接聞いた。

 一行は10時過ぎに茨城県庁に到着、同県対策本部で橋本昌知事らの説明を受け、100人あまりの職員を激励した。この後、11時20分過ぎに東海村役場に行き、事故への対応にあたっている職員を激励し、村上達也・東海村村長らと会談した。

 村上村長らからは、(1)政府との連携体制がうまくいかなかった。独断でまず、半径350メートル以内の住民を避難させた。災害対策措置法を準用して適用してほしい。(2)原子力防災の法律を作ってほしいとの要望が出された。

 鳩山団長は、記者の質問に答えて、「考えられない人為ミスで住民の皆さんに申し訳ない。原子力が悪いということではないが、これからの安全利用にしっかり取り組まないとならない」と述べた。

 この後、緊急事故調査団は東海村の舟石川コミュニティーセンターに向かい、避難している約70人の住民を慰問した。住民の皆さんからは「昨日の夕方から避難しているので疲れている。早く帰りたいが、安全が大切」という声があった。

 現地調査を終えた鳩山由紀夫団長は、12時30分から東海村役場で記者会見を行い、「原子力政策の総点検を行う必要がある。中枢部についてはできているが、周辺部でこんなずさんなことでは困る。安全対策の徹底が必要だ」と述べた。また、辻一彦衆議院議員が中心になって検討している「原子力防災立法」の成立をめざす考えを示した。

 鳩山団長は帰京後、両院議院総会第1回目の政務役員会で調査内容を報告した後、首相官邸に野中官房長官を訪ね、「原子力政策を総点検し、原子力防災法の制定を始め、国民が納得し、安全できる原子力行政を早急に確立すること」など9項目を申し入れた。申し入れには江田五月本部長代理、辻一彦松沢成文両衆議院議員が同行した。
 申し入れ後、鳩山代表らは国会内で記者会見し、農作物の風評被害の防止のために、一刻も早い調査と内容の開示を求めたことを紹介。「政府の対応は甘かった。情報の伝達の遅れが常につきまとう。責任を逃れたいという心理が働いているのではないか」と指摘した。同席した江田本部長代理は「原子力災害のマニュアルはあるが、『事故は起こらない』ことが前提になっている。国際的水準から見て恥ずかしい内容」だと述べ、辻議員も迅速な初期対応ができる防災専門官の配置などを定める原子力防災法の必要性を強調した。

●民主党東海原子力事故対策本部緊急事故調査団

団長  :鳩山由紀夫民主党代表 
副団長 :江田五月参議院議員 
事務局長:大畠章宏衆議院議員
メンバー:郡司彰参議院議員、小林元参議院議員、長谷川修平、今一男、細田武司、飯泉淳・各茨城県議、馬目暢之、沓澤茂樹東海村村議
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