ニュース
ニュース
1998/11/30
「小渕政権は人まかせ政権」「国民に自自連立の信を問え」/菅代表が衆院本会議代表質問


民主党の菅直人代表は30日、衆議院本会議で小渕総理の所信表明演説に対する各党代表質問のトップに立ち、「金融再生法案についての私との合意も、小沢自由党党首との政権樹立の合意も、官房長官任せでリーダーシップのかけらもない。小渕政権は『人まかせ政権』」「小渕外交は相手国の圧力をかわすことにエネルギーの大半を費やす『かわし外交』」と指弾した。

 菅代表はまず、「自自連立」について(1)なぜ連立を組むのか(2)国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば自衛隊は参加できないとする憲法解釈を変更するのか(3)閣僚数減などの政治・行政改革を次期通常国会で行うのか(4)内閣改造は次期通常国会までに行うのか――を質問した。

 これに対して小渕総理は「内外ともに危機的状況にあり、適時適切に政策を実施していくべきだが、先の金融国会でも難しい面があった」と述べ、自らのリーダーシップ欠如への反省はないまま、「より安定的な政権運営」のために「自自連立」に合意したと表明した。憲法解釈については「国連平和活動への参加のあり方を小沢党首と話し合っていく」と述べるにとどまり、政治・行政改革、内閣改造の質問にも明確に答えなかった。

●減税抜きの景気対策は公約違反

 菅代表は今国会の焦点である緊急経済対策、平成10年度第3次補正予算について、「最大の問題は景気対策の要である所得税、法人税などの恒久減税が欠落していること」「小渕総理は国内外で恒久減税を約束しており、減税抜きの景気対策は公約違反」と追及した。

 緊急経済対策についてはこの他、(1)先の国会で自民党などが成立させた「早期健全化法」では不良債権処理にも貸し渋り解消にも効果がない(2)財政構造改革法は、先の通常国会で民主党など野党が提出した2年間停止する法案を踏みにじっておきながら、この期に及んでビジョンも見通しもなく凍結しようとしている(3)旧態依然とした公共事業が柱となっており、経済効果は期待できず、実際に事業を行う自治体の財政は危機的で協力は望めない――などの点を指摘し、「政府の緊急経済対策と財革法凍結法の組み合わせは、経済再建も財政再建も挫折させるという最悪の結果をもたらす」と批判した。

 減税先送りについて菅代表は「来年1〜3月期が今後の経済動向に極めて重要なのに、総理の景気に対する恐るべき鈍感さを指摘せざるをえない」と追及したが、小渕総理は「平成11年度(4月)から所得税、法人税率の引き下げを行い、所得税は1月に遡って適用する」と答弁し、後手後手の景気対策を反省しようとしなかった。

●民主党は「子ども手当」など具体的提案

 菅代表は民主党の経済対策に沿って所得税減税、「子ども手当」創設、年金保険料引き下げなど、「減税と社会保障充実のトータルなパッケージ」を財源を含め具体的に提案。自由党が主張している消費税率をいったん0%にした後、年々6%まで引き上げる案には反対。政府提案の「地域振興券」案には「効果は乏しく、賛成しかねる」と表明した。

 小渕総理は「消費税引き下げは困難だが、少子高齢化に伴う年金医療などの財源は長中期的税構造の議論が必要」など、抽象的答弁に終始した。

 最後に菅代表は「前回の総選挙は自社さ政権で闘った選挙であり、自自連立は国民の信任を得ていない。民主党は早急に解散・総選挙を要求するとともに、総選挙後には自自連立政権に取って代わり、政権を担い得る『民主中道』を軸とする政治勢力の結集を実現する」と国民に約束した。
関連URL
  代表質問
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=11603
記事を印刷する