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1999/10/26
参院決算委で臨界事故追及/内藤正光・櫻井充参議院議員
参議院決算委員会で26日、茨城県東海村で起きた原子力施設臨界事故についての質疑が行われ、民主党・新緑風会から内藤正光、櫻井充両参議院議員が質問に立った。

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 内藤正光議員は、質疑の冒頭、「JCOの海外との競争がコスト削減・安全軽視の原因となった」と指摘して資源エネルギー庁に安全性確保を要求した。また84年から科技庁が行ってきた立ち入り調査が実はほとんど運転休止中に行われていたことを明らかにした上で、唯一の調査も高木JCO前社長が通産省局長から天下った頃から突然ストップしている事実を突き付け、監督官庁の怠慢を厳しく追及した。

 これに対し斎藤鉄夫科技庁政務次官は「行政指導はちゃんとやってきたが結果的に事故がおきた」と答弁し、内藤議員から「結果的などと言わないでほしい。そんな監督官庁の逃げ腰が事故を生んだ」とたしなめられる一幕もあった。

 続いて内藤議員は、JCOが実は18年前にもフッ素漏れ事故を起こしていたことを紹介しながら「緊張感が欠如していたのではないか。危機意識を持って臨んで欲しい」と求めたのに対し、斎藤次官は「フッ素漏れ事故のことは知らなかった。核加工施設で事故は起こりうるという思想で見直していきたい」と答弁した。さらに政府が立法作業を急いナいる原子力防災法案にも触れ、既に科技庁が3年前にJCOなどに情報公開を「指導」していた文書を示しながら、「事故では情報公開が完全に後手に回った。にもかかわらず新法の中には住民や国会への情報公開・報告が全く欠落している」と指摘し、斎藤次官から「徹底した情報公開をするという認識を持って法案作成を進める」との答弁を引き出した。(以上内藤正光事務所記事提供)

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 櫻井充議員は医学的見地から「事故の時にどれだけの放射線がどの範囲まで出たのか。放射線量はその距離の二乗に反比例して減少する。住民の被爆量を量る基本となる地図を公表して欲しい。」と質問。間宮原子力安全局長は、「なるべく早く公表する」と述べただけで、さらに櫻井議員が「中性子線を浴びた場合の遺伝子への影響はどうなのか」と迫ったが、斉藤政務次官は「すぐには言えない」としか答えられなかった。

 次に、原子力事故の緊急時医療体制について、櫻井議員は、「マニュアルはあるのだろうが、現実と全くあっていない」と事故後の遅い対応を批判。さらに、「事故の発生から避難命令が出るまで、5時間以上かかっているが、これはおそいのかはやいのか」との追及に、間宮局長は、「なるべくなら早い方がいい」と答弁にならない答弁を3度繰り返した後、「時間的に充分(な早さ)ではなかった」と避難命令が遅かったことを認めた。

 最後に、櫻井議員は「こういった事故の後、チェルノブイリ事故の後にも多く見られたように、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を訴える人が出てくるはず。そういう人たちのケアはどうなっているのか」と質問。厚生省の篠崎保健医療局長は「保健所に窓口を設置し、必要な支援を実施していく。また、PTSD研究班をたちあげた」と答えた。
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