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1999/06/07
衆院行革特・中央公聴会/慎重審議を求める意見相次ぐ
「うっかり・びっくり・がっかり」ではなく、
「ゆっくり・じっくり・しっかり」の地方分権を
 
 衆議院の行政改革特別委員会は7日、公聴会を行った。午前と午後に分けて、民主党推薦の恒松制治・元獨協大学長(元島根県知事)、並河信乃・行革国民会議事務局長など計8名から意見を聞いた。

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 午前中の、地方分権一括法案に対する意見陳述で、恒松氏は「機関委任事務の廃止は大きな功績」と基本的に評価。一方4つの問題点として、 1.「法定受託事務」の位置づけが不明確。国が本来果たすものは国自身が行うべき 2.「自治事務」に対する国の関与が残る 3.地方議会の運営・上限定数などを国の法律で決めるとしている 4.都道府県の位置づけが不明確。市町村に対する指導監督のあり方は国と変わらない、と列挙。そして「これからの地方自治の出発点になる、きわめて重要な法案」と指摘し、国民の納得を得るための時間をかけた審議を要望した。

 質問に立った岩國哲人議員は、まず「うっかり・びっくり・がっかりではなく、ゆっくり・じっくり・しっかりの地方分権が望まれる」と述べ、法案の成立が仮に1年遅れた場合の影響について質問。恒松氏は「一度決まったら、問題を残したまま今後50年は変わらない」と強調し、必ずしも今の国会での法案成立にこだわるべきでない、との考えを重ねて示した。また、法案全体への評価を尋ねられた井下田・姫路獨協大学教授は「点数の評価はできないが、依然として中央関与の側面が強すぎる。地方不信を払拭できずに法律が組み立てられているところに問題の根が内在している」と述べた。

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 午後の「中央省庁等改革関連法案」に対する意見陳述では、民主党推薦の並河信乃・行革国民会議事務局長は、「全体として理念がはっきりしない。企画と実施の分離というが、はたしてどこに線が引かれているかわからない。せっかくここまできた作業なのだから、国民の納得のいく議論をしてほしい」と述べた。並河氏は特に「なぜ内閣府に金融監督庁があるのに、公正取引委員会が総務省なのか」と疑問を投げかけ、国会の審議の中で確認するよう要望するとともに、独立行政法人を情報公開法の対象にするよう求めた。

 質問に立った田中慶秋議員が「省庁再編によって巨大な官庁ができたことは、スピードアップやコストダウンに逆行しているのではないか」と考えを求めたのに対し、並河氏は昨年イギリスで法律ができたRDA(地域開発エージェンシー)を例に挙げ、「マンモス官庁ができたことを奇貨として、(国土交通省の出先機関である)地域整備局に、予算の枠配分や運営への地域住民の参加を取り入れれば、予算の効率化、民主主義の確立などプラス面も生まれる」との視点を示した。
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