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1999/06/09
盗聴法案など組織犯罪対策3法 参議院で審議入り
民主主義の根幹を揺るがす危険な法律/小川敏夫参議院議員が代表質問で警告
 自自公3会派による強行採決により1日に衆議院を通過、参議院に送付された通信傍受(盗聴)法案ほか組織犯罪対策3法案の趣旨説明と代表質問が9日、参議院本会議で行われた。民主党・新緑風会の小川敏夫参議院議員など各会派代表が質疑に立ち、プライバシー配慮に対する不備、危険性を指摘する声が相次いだ


 小川議員は冒頭「憲法21条で保障された通信の秘密と、公共の福祉に基づく制限の兼ね合いについて、総理の認識が示されていない」と法案の重大性に対する小渕首相の認識の浅さを痛烈に批判。

 この法案について、小川議員はまず「裁判官の令状によるチェックが機能しない」と批判し、具体例として、神奈川県警警察官による日本共産党幹部宅の盗聴事件や、福岡県警南署警察官が、虚偽の調書に基づき捜査令状を得て違法捜査しス事件など、警察当局による、数多くの人権侵害の実例を列挙した。

 また通信傍受の実施にあたっての問題点として、小川議員は 1.令状に記載された傍受すべき通信に該当するか否かを判断するため(該当性確認)、傍受すべきでない通信を傍受することが認められる。 2.立会人は捜査官とともに傍受せず、傍受目的や被疑事実などを予め知らされず、また傍受を中止する権限も与えられていない、となっており、立会人の存在が乱用の防止にはならない。 3.傍受記録以外の通信傍受については、当事者への通知、事後点検制度が採用されていないので、「試し聞き」された通信について当事者は最後まで何も知らされない。 4.弁護士や報道関係者に対する傍受除外規定がなく、弁護人の秘密交通権や報道の自由を支える取材源の秘密が守られない――などと具体的に指摘した。

 小川議員はさらに「FBI(アメリカ連邦捜査局)のフーバー元長官は、収集した個人情報によって40年以上もその地位を維持し、大統領よりも強い権力を握った」「与党の皆さんも、党内の権力争いに個人情報が利用される。また与党の立場はすぐに代わるかもしれない」と、民主主義社会の根幹さえ覆す可能性があるこの法案の危険性を、自民党所属議員に対しても広く呼びかけた。

 議場は賛意を示す盛大な拍手と、閣僚席に対するヤジで、質疑中騒然とした雰囲気が続いた。
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