ニュース
ニュース
1999/06/09
行革には政治のリーダーシップ不可欠/首相府新設の民主党案へ委員会質疑
 本会議の採決に先立つ9日、衆議院行政改革特別委員会では午前中、答弁席に民主党議員が座り、民主党の3法案に対する質疑が行われた。

 まず小林守議員が法案の趣旨説明で「既存の考え方にとらわれずに、議論を尽くして国民が納得する制度を構築したい」と要請した。

 末松義規議員は、岩永峯一議員(自民)が「民主党案には内閣官房と総理府等の再編以外の、ほかの省庁がどうなるか、全体像が示されていない」と批判したのに対し、「まず政治的リーダーシップを確立しなければ行政改革は実際に機能的に行われない。首相府と内閣府を各省の上位におき、体制を整えてから期限を設けて進めていく。今の政府案では、まず1府12省庁ありきの数合わせに終わっている」と答えた。

 安住淳議員は、山本譲司議員(民主)が「どのような手法で政治の指導力を確保するのか」と説明を求めたのを受けて、「(戦前の)帝国憲法下では首相は閣僚の中の『同輩の主席』とされており、その考えが現行憲法での首相の地位と権能を縛り付けている。首相は、選挙で選ばれた国会で指名された立法府の代表として内閣を指揮監督するわけだから、行政は首相の意思を貫徹しなければならない組織だという解釈論に立ってこの法案を出している」と、法案の理念を説いた。

 中川正春議員は、若松謙維議員(公明)の「徹底したアウトソーシング、民営化をすすめたイギリスの行政改革のような、継続的な改革は民主党案では可能なのか」との質問に、「政治任用を中心にして、民間も入れた行政改革室を内閣府に作り、行革のエンジンとする。その上で、政治主導で国民サイドに立った目標をしっかりと立て、それぞれの政策評価に従って、具体的な手順をきめて進めていく」と答えた。さらに、「首相府をおくことで本当に行政をコントロールすることが可能なのか」との問いには、田中慶秋議員が「行政改革というのは立法府と行政府の争いだ。立法府がリードしやすい環境をつくることが今一番求められている」と述べ、与党席からも拍手が起きた。

 最後に「内閣府に予算作成権をおくことで政府案とどこが大きく違うのか」と平賀高成議員(共産)が質したのに対し、安住議員は「現行制度でも確かに首相に予算提出権があるが、実態は各省庁からの積み上げだ。私たちの案は、予算の決定権を政治の世界に持ってくる。ゼロから全ての予算を政治が決めていく仕組みにするにはわが党案しかない」と強調した。
記事を印刷する