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2006/02/10
党拉致問題対策本部総会開き、日朝政府間協議についてヒアリング




党拉致問題対策本部第6回総会・外務防衛部門合同会議が10日午前、国会内で開かれ、外務省の梅田アジア大洋州局長から北京で開かれた日朝政府間協議について、警察庁の北村警備局外事課長からは拉致対策への取り組みに関してそれぞれ報告を受けるとともに、問題解決への今後の民主党としての対応等を協議した。

 会議には衆参国会議員のほか、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の飯塚繁雄副代表、横田早紀江代表夫人、増元照明事務局長や、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会の佐藤勝巳会長、特定失踪者問題調査会の荒木和博代表も出席した。

 日朝政府間協議における北朝鮮の姿勢について「家族会のみなさんの思いを代弁すれば憤りを禁じえない」とする対策本部事務局長の渡辺周衆議院議員の司会のもと、挨拶に立った本部長の中井洽衆議院議員は、「このような交渉をいつまで続けるのだろうという思いを新たにした」と述べ、思い切った制裁をしないと何ひとつ反応しない国だという思いのもと、拉致交渉の進捗に向けて手を打っていく必要性に言及。米国による金融制裁は北朝鮮に大きな影響を及ぼしているとの見方も示したうえで「みなさんの声を聞き、国会対応していきたい」と語った。

 続いて挨拶した副本部長の浅尾慶一郎参議院議員(『次の内閣』ネクスト外務大臣)は、「拉致問題を解決していくためには様々なカードを準備していかなければならない」と述べ、民主党が準備した北朝鮮への経済制裁を盛り込んだ北朝鮮に係る人権侵害の救済に関する法律案の成立や横田めぐみさん拉致の実行犯とされる北朝鮮工作員・辛光洙容疑者の引き渡し要求などと合わせて、国際的な連携のもとに北朝鮮に圧力をかけていくことが有効との認識を示した。米国はもとより中国などの協力を求めていくことが必要だと指摘した浅尾副本部長は、中国との関係悪化が著しい小泉政権にはそれは期待できないとの見方も示し、「その意味でも民主党が果たす役割は大きい」と語った。

 外務省、警察庁からのヒアリング後の質疑では、参加議員から発言があった。白眞勲参議院議員からの日朝の2国間協議ではなく国際的な広がりの中で議論すべきではないかとの質問に、外務省からは本当に実効性のある解決に向けては2国間で協議するのが必要との認識が示された。「国際世論を味方につけることも行っていく」とも述べた。

 山根隆治参議院議員は、日朝政間協議出発時には官邸からの指示があったかを確認。その問いに対して外務省からは、小泉首相、安部官房長官から密接な打ち合わせを行ったとの回答があった。交渉時に北朝鮮側は、拉致問題をめぐる日本の世論を北朝鮮トップは常時、テレビ等を通じて注視していると語ったことも外務省担当官は明らかにした。

 黒岩宇洋参議院議員は、外務省から示された報告書に「日本の経済協力や方式の効果等の説明に、先方は強い関心なし」と記載があるのに関して質問。外務省側は関心を示さなかったとしても裏を読む必要もあると回答。黒岩議員が重ねて経済協力がカードとならないとすれば他にどんな手立てがあるかと質問したのに対して、外務省側は何が効果的か考えており、民主党議員にも協力を要請したいとの発言があった。

 広野ただし参議院議員が「国会決議をしても何もしないまま交渉を続けていては風化してしまう」との危機感を示したのに対して外務省の梅田参事官は、「日朝協議の結果を受けて圧力を強化する必要性があると考えた」と明言した。

 同時に協議を通じての北朝鮮の印象について梅田参事官は、(1)日本の世論を非常に気にしている、(2)「熊本市による朝鮮会館の課税免疫措置は違法」とした福岡高裁判決等を通じて日本国内の圧力を感じている、(3)拉致問題の国際化を恐れている――との3点を列挙した。
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