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2006/02/13
前原代表、福岡での九州ブロック自治体議員フォーラムで講演行う


民主党九州ブロック自治体議員フォーラムが13日午後から福岡市内で開催され、前原誠司代表も参加。基調講演と質疑応答を行ったほか、安住淳選挙対策委員長らも講演を行った。

 「私のめざす政治・これからの日本」と題したこの基調講演で前原代表はまず、現在の国会情勢について報告。耐震強度偽装問題については、小泉政権による「小さな政府」の議論が、「官の責任放棄と民の倫理観欠如」を生み出していると指摘したほか、ヒューザー社との関わりで名前が出ている、自民党の伊藤公介衆院議員の問題について言及し、後ろめたいことがないのであれば、自らの著書にも明記しているように、証人喚問に応じるべきだと厳しい口調で述べた。

 前原代表は、「小泉改革なるものによって、法の不備を突く流れがでてきた」問題として、ライブドア問題にも触れ、株式市場の規制緩和の流れの中で出てきた問題であり、今後も「闇」の問題が出てくる可能性が高いなどとした。そして、追及を行いつつ、「これからの証券市場はどうあるべきか、日本版SECの設置だけでなく、「市場の健全化などに向け、しっかりと提言をしていく」意向も明らかにした。

 米国産牛肉の問題についても、国内では政府の責任を認めず、米国政府に抗議もしない小泉首相の姿勢を、「内弁慶も甚だしい」として厳しく批判。輸出プログラムの順守がしっかり担保されなければ、「輸出再開を到底認めるわけにはいかない」との見方を示した。また、自民党の調査団が民主党調査団の後追いをして「調査の調査」を行っていることについても、「自民党もここまで落ちたのかという思いがする」と厳しく指摘した。

 防衛施設庁の官製談合問題についても前原代表は言及。党として、各省庁の公益法人等を徹底的に調査し、規制の目を逃れるため、いったん公益法人などに天下る「迂回天下り」が横行している実態を、白日の下にさらす取り組みを進めていく、などとした。同時に前原代表は、早期退職勧奨制度について見直し案を示す必要性も強調した。

 「全てにつながる最大の問題は財政問題だ」とここで改めて指摘した前原代表は、政権獲得の際には、「この問題に深刻に対峙をしなければならない」として、「税金の使い途を変え、効率的で人に温かい政府をめざす」との党がめざすべき方向性に言及した。前原代表は、この「効率的な政府」の具体的内容として、公共投資の対GDPの割合がまだまだ高い公共事業改革、公務員制度改革、分権改革、特別会計改革などについて詳しく述べ、活発な議論を呼びかけた。

 更に前原代表は、民主党がめざすべき社会の一つのイメージとして、2007年問題、いわゆる団塊の世代の方が定年退職を迎える問題について触れた。前原代表は、「今の60歳は大変お元気だ」として、そうした方々がボランティアなり定年延長なりして、社会の中で今まで培ってきた能力や経験を活かし、「公に対する奉仕の気持ちを発言していただく場をつくることが、行政としての大きな役割になっていく」と指摘。教育、介護、環境、医療、農業、観光などの分野で、しっかりと地域に様々な形で関わっていただくことが最大のポイントだとして、このことにより、「高サービス・低コストの、市民参画型分権社会を実現することができる」とした。

 前原代表は、「市民参画型分権社会のベース、ひな形」として、地域の住民やボランティア・保護者・学校が、学校の運営に共同で責任をもっていくコミュニティー・スクールの重要性に言及し、自らが現場を視察した経験も踏まえ、詳しくその意義を強調した。また、小泉政権の医療制度改革についても批判を加えた前原代表は、諏訪中央病院などを視察した経験を語り、高齢化社会を迎えたわが国でのあるべき医療制度の姿について、人々に生き甲斐を与えられる市民参画型分権社会実現への観点から述べた。

 労働組合との関係についても前原代表は言及。日頃の懸命の応援に感謝し、働く皆さんの立場に立つ民主党の立場を明確にしつつ、頻繁に意見交換を行っていくとの基本的立場を改めて明らかにした。その上で、「自ずと政党と労働組合で考え方が異なる場合もある」ことも踏まえ、是々非々での判断もあると述べ、議論をしながら信頼関係を強めていきたいとの考えを改めて強調した。また、労働組合だけに依存する選挙だけでは政権獲得できないとして、ウィングを拡げる活動を各総支部長に求めている、と指摘した。

 憲法については、「9条の戦争放棄、平和主義の考え方を変えるつもりは全くない」と、まず強調しつつ、自衛隊の必要性は誰もが認めるところだとして、2項について、「読んで字のごとし」という内容にすべきだと指摘した。集団的自衛権の問題についても、わが国の危機となっている状況にのみ、具体的には周辺事態とミサイル防衛において行使できるよう、限定をすべきだとの考えを示した。国際貢献活動についても前原代表は触れ、「仮に国連決議があっても、海外での武力行使はすべきではない」などの考えを示し、こうした考えも俎上に乗せて議論を行い、憲法や安全保障の考えをまとめていきたいとの意欲を示した。

 続いて、参加した地方議員の皆さんとの質疑も行われ、格差拡大と市場主義の関連、民主党のめざすべき社会、民主党の考える今後の外交戦略など、様々な課題について質問が相次ぎ、前原代表はその一つひとつについて自らの考えを明確に述べ、丁寧に説明を行った。

 この後、フォーラムでは、安住淳選挙対策委員長が今後の選挙対策方針について講演を行ったほか、鈴木克昌地方自治体局長も、これからの活動についてまとめの挨拶を行った。また、地元福岡からは、松本龍衆議院議員(福岡県連代表)、岩本司・大久保勉両参議院議員らも出席した。なお、今回のフォーラムには九州ブロック全域から100名を超える地方自治体議員が参加する盛況となり、活発な議論が展開された。
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