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2006/02/16
【衆院予算委】古川議員、前向きな年金一元化議論を改めて求める
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衆議院予算委員会で16日、平成18年総予算をめぐる一般的質疑が行われ、民主党・無所属クラブの古川元久議員が、高山智司、永田寿康両議員に続いて質問に立ち、公的年金一元化に向けた政府の見解を質すとともに、所得把握のあり方等に関して、川崎厚生労働大臣、竹中総務大臣、谷垣財務大臣らに質問した。
年金議論でキーワードとなっている「公的年金制度の一元化」に関して古川議員は、民主党の考え方は「公的年金も含めた一元化」であることを改めて明示したうえで、政府内には認識のズレに関して取り上げた。
古川議員は、閣議決定で示された文書にある表現の変遷を提示。まず、昭和59年の閣議決定の文書にある「公的年金制度の一元化」の意味は、共済年金、公債年金といった被用者年金制度を指すものであったことを、川崎厚労相の答弁から明らかにした。続いて、平成8年の閣議決定文書には「公的年金制度の一元化」という言葉がなくなり、「被用者年金制度の再編成」となっていることを指摘し、先の川崎厚労相の答弁を踏まえれば、「公的年金制度の一元化」と「被用者年金制度の再編成」は同義語と理解し得るとの認識を示した。平成13年にはまた、「公的年金制度の一元化」という言葉が再び使われていることを古川議員は指摘したうえで、ここに言う「公的年金制度の一元化」は「被用者年金制度の再編成」かを確認。川崎厚労相の答弁を受けて、昭和59年以降に使われてきた「公的年金制度の一元化」=「被用者年金制度の再編成」であることを再確認した。
さらに古川議員は平成17年の被用者年金制度の一元化等に関する関係省庁連絡会議の文書に、「被用者年金制度の一元化をうまく進めることは公的年金制度の全体をも展望するのに不可欠」とあり、用語の混同が見られることを指摘した。
場に応じて言葉の定義を使い分けることは本来有り得ないとの考えを重ねて示したうえで古川議員は「閣議決定自体は効力を有していないか」と述べ、安倍官房長官の見解を質した。安倍長官は「閣議決定し直してきている」などとして、変遷は有効としたが、古川議員は10年以上の年月を経過しながら、いまだに方針が定まらないこと自体が問題だと批判。被用者年金の一元化に向けた民主党案への対案を早急に示すよう、政府・与党に強く要請した。
「年金の議論を我々は詰めたい。この先の被用者年金一元化超えた、国民年金一元化への議論に入っていこうではないか」とも古川議員は述べ、政府の前向きな対応を求めた。これに対して川崎厚労相は「4月末には政府としては基本的な考え方をまとめたい」と語った。
古川議員は党派を超えた協議が必要だとして政府・与党の前向きな取組みを再度呼びかけたうえで、自営業者の所得把握は困難との与党側からの批判を受けて国民年金一元化の動きがストップしてしまったことに改めて言及し、その認識に変わりはないかを質した。
谷垣財務相は「所得の把握は国税庁においてもきちんとやろうと努力している。所得形態の違いあり、完璧にやるのは難しい」と答弁。川崎厚労相も「難しい制度になると認識している」と語った。
古川議員は所得税・住民税の決定は、「正確度に差があるのはやむを得ない」(谷垣財務相)との認識のもとではあるが、実際にはそうした所得把握に基づいて、税の徴収が行われ、社会保障負担が決まっていることを改めて指摘した。そうした実情がある以上、所得把握が完全になしえないから年金一元化は話し合えないとの議論は成り立たないとの認識を示したうえで、所得把握の実態調査に向け、政府が調査・推計を行うことこそが筋であることに改めて言及。同時に、建設的な議論を行うためにも現段階で把握している所得把握に関する数字を提示するよう竹中総務相に改めて強く求めた。
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