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2006/02/21
【衆院予算委】原口議員、公的支援発動基準の不明確さを鋭く指摘


21日午後、衆院予算委員会の耐震偽装問題に関する集中審議において原口一博衆院議員(『次の内閣』ネクスト総合政策企画会議担当大臣)が質問に立ち、公的支援発動の際の基準の不明確さを鋭く指摘した。

 冒頭に原口議員は、沓掛国家公安委員長による耐震偽装問題は民と民の関係であるとの発言について、あくまで国土交通相の臨時代理としての発言であることを確認した。

 原口議員は、耐震偽装問題は姉歯建築士ひとりの問題ではなく、国民の安全・安心に関わる幅広い問題として捉えるべきだとの観点から、自らが起草に携わった消費者基本法における消費者は保護の対象ではなく権利の主体であるとの基本認識に立つべきであると注意を喚起した。

 原口議員は、姉歯建築士が時間的な制約から偽装した計算書を出し、その後差し替えることが可能であったかどうかについて質問し、差し替えが頻繁に行われている可能性を指摘した。

 原口議員は、伊藤元国土庁長官がヒューザーの小嶋社長とともに国交省を訪れたときの会話要旨を記した国交省の文書を提示し、伊藤議員が自ら問題の所在を国交省に質問していることを確認した。

 ここで原口議員は、すでに馬淵議員が提示している昨年11月20日のグランドステージ川崎大師での住民説明会におけるヒューザーの小嶋社長の発言の内容を吟味しつつ、質問をすすめた。その中で、国交省は国に第一義的な責任があるとの言質を与えていないことを確認した。その上で原口議員は、ヒューザー社に建築者としての瑕疵担保責任があることを承知の上で、国交省が公的支援に踏み切った根拠を質した。これに対して、国交省の住宅局長はヒューザーの提案に現実性がないことなどを根拠として挙げた。

 原口議員は、公的支援そのものの意義は認めつつも、自らの責任で瑕疵担保責任を果している企業もあることを指摘して、公的支援には明確な基準が必要であることを訴えつつ、質問を続けた。その結果、公的支援を決定するにあたって、ヒューザー社の財務諸表すら点検していないことが判明した。原口議員は、支援を行うかどうかを決める際に財務諸表を点検するのは金融の世界では当然のことだと指摘し、さらに今後姉歯物件以外の物件においても公的支援が必要になる例が出てくる可能性があり、その際に支援を発動する基準がはっきりしていないのは問題だと指摘した。これらの指摘に対して、北側国交相も谷垣財務相も、公的支援の必要性を唱えるだけで、曖昧な答弁に終始した。

 最後に原口議員は、建築物は社会的資産であり環境資産であるとの立場から、永続性のある建築物を作る体制を築くべきであり、そのためには構造や基礎などの弱い部分にしわ寄せが行くことを防ぐとともに、建築士法や建築基準法を改めて建築に携わる一人ひとりの顔が見えるようにすること、さらには中間検査で基礎工事などが確実にチェックできるようにすることなどを提案し、質問を終えた。
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