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2006/02/22
【衆院予算委】高山議員、施設庁事件への防衛庁の対応の鈍さ指摘


衆議院予算委員会で22日、官製談合問題等に関する集中審議が行われ、民主党・無所属クラブの高山智司議員が、小川淳也議員に続いて質問に立ち、この問題をめぐる防衛庁の対応、捜査状況等に関して額賀防衛庁長官、谷垣財務大臣らに質した。
 
 高山議員は防衛施設庁の談合事件に象徴されるように、政府の税の無駄遣いの構図が随所に見られると指摘。無駄遣いの是正なしで増税負担のみを強いるのでは国民の理解を得られないと訴えたうえで高山議員は、衆議院調査局に依頼した「天下りの実態」に関する調査結果を示すよう求めた。
 
 衆議院調査局長からの報告書の概要が示され、それによると、調査対象法人である関係省庁14省庁・4437法人のうち国家公務員の退職者が再就職しているのは3923法人、2万2183人で、そのうち、理事・監事等の取締役に再就職しているのは3434法人、8915人に上り、調査対象法人のうち、国から補助金交付を受けているのは1575法人で6兆1557億円という巨額の予算執行が行われている実態が明らかにされた。
 
 交付金6兆円を受けている天下り法人には民間法人は含まれないことを再確認したうえで高山議員は、谷垣財務相に対し、平成18年度の予算作成の際にはこうした平成17度の予算執行実績を踏まえるべきだと指摘。谷垣財務相は「万全を尽くしたと考えている」などとしたが、こうした点に調査のメスを入れない限り、増税路線だけを打ち出し続ける政府の姿勢に対する国民の理解は得られないと重ねて指摘した。
 
 談合によって競争原理が働かないことによる割高額に関しても高山議員が質問した結果、単純平均で18・6%割高になっている実態も浮き彫りになり、公益法人にどうメスを入れていくかが問われているとの認識を示し、谷垣財務相に前向きな対応を強く求めた。

 続いて高山議員は、1998年に発覚した防衛庁調達本部の事件の反省がまったく活かされていないとの認識に立ち、事件のあらましについて再度、額賀長官に確認。「防衛庁改革を行い、防衛庁の新しい体制をつくることによって国会運営がスムーズに展開し、次年度の予算編成、予算審議等の全般を考え、私自身が責任をとって(辞任することで)防衛庁の再生を願った」と述べた額賀長官だったが、高山議員は今回の事件発生は何ら防衛庁の再生・有効な解決策がとなっていないことの証明だと分析してみせた。

 また、調達本部の事件の際は、防衛調達改革本部本部長には額賀長官が自ら就任したにもかかわらず、今回の事件に関しては組織上の問題点の洗い出し、再発防止策の検討などを行っているにもかかわらず、額賀長官は対策本部長に就任していないことが明らかになった。この点をめぐって高山議員は、「防衛施設庁をトップとする対策本部であるなら、(額賀長官)自らトップにつくべき」と指摘。「予算委員会で集中審議まで行っているなか、長官がトップにならないのは、問題を軽視しているとしかいえない」ときびしく批判した。

 また、高山議員が事件の全容が明らかになった際は「国民の税金をかすめとる構造が防衛庁のなかには恒常的にあった組織ぐるみの犯行」ということで責任をとって辞任するかを質すと、額賀長官は「防止対策を講じて、防衛庁の国民に対する責務を作り出していくことが私の責任」などとするだけで、辞任に関しては答弁を回避。

 さらに、談合先の受注業者にOBの就職先を割り振った配分表の問題を高山議員は取り上げ、「配分表が出てきた場合は組織ぐるみと考えるか」と質したのにも額賀長官は明確な答弁を再び回避。「地検の捜査の焦点。全容が解明されることを望む」と述べるだけだった。

 あわせて高山議員は、前回の調達本部の事件の際に証拠隠滅行為が多数行われた実態を踏まえ、今回の事件に関して起訴された現職2名以外は通常業務に従事している実態を「問題だ」と指摘。通常業務に従事することで、証拠隠滅に繋がる危険性は高いとの認識を示し、報道等でも取り沙汰されている発生当時の建設部長等による証拠隠滅の実態はないかを質した。これに対して額賀長官は「捜査の問題であるので承知していない」「捜査に協力するよう指示している」「捜査当局の意向もあり、個別具体的なことに関するコメントは控えたい」などと答弁するにとどまり、さらには、証拠隠滅阻止に向け資料を一定箇所に保管・管理するといった対応策さえとられておらず、証拠隠滅行為を行ったかどうかの職員尋問等も行っていないことが質疑から明らかになった。

 こうした状況を踏まえて高山議員は最後に、「長官は部下を信頼する立場でもあるが、国民の代表として事案を究明していくのも長官としての立場もある」と述べ、事実解明に向けた前向きな対応を重ねて額賀長官に要請した。
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