ニュース
ニュース
1999/07/06
参院法務委/電子メールの傍受をめぐり千葉、櫻井両議員が追及
 参議院法務委員会は6日、通信傍受(盗聴)法案を含む組織犯罪対策3法案に対する質疑を行い、民主党・新緑風会から千葉景子、櫻井充の両議員が、インターネットの電子メールの傍受を中心に追及した。

 千葉景子議員が「メールサーバーに保存されている電子メールは、通信傍受法案の第2条2項にある『現に行われている他人間の通信』といえるのか。配達前の郵便物をコピーするのと同じではないか」とただしたの対し、松尾・法務省刑事局長は「メールボックスに溜まっている電子メールは、現行刑事訴訟法でも捜索差押令状で押収し、その場でコピーできる。しかし、電子メールは受信後すぐに削除され、蓄積されない場合もある。この法案では、通信経路を特定し、リアルタイムで流れるものを『通信傍受令状』により捉える」と説明した。

 「2つの令状を持っていき、その場で使い分けて、何でも調べることはないか」と千葉議員がクギを刺したが、松尾局長は「事前に捜査対象を特定する。恣意的に扱うことはない」と答弁。千葉議員は「事前に令状をいずれかに確定することが本当にできるのか」と疑問を呈した。

 続いて質問に立った櫻井充議員は、電子メールデータの押収の際に、「サーバに蓄積されたデータを押収する際は、押収目録が作成され立会人に示されるが、リアルタイムで傍受したものには、立会人にも送受信した当事者にも差し押さえた内容が示されない。同じメールで差があるのはおかしい」と指摘。

松尾局長は「押収と通信傍受は違う」「電話の傍受でも立会人は内容はきかず、外形的にチェックするだけ。インターネットでも同じ」などと法体系の違いなどを強調したが、質問と答弁はかみ合わなかった。

 桜井議員は憤りを隠せず、「電話には差押はない。それを混同するからわからない」と反論。「少なくともプライバシー保護の観点から、傍受の終わった段階で当事者に伝えるべき」と主張した。
記事を印刷する