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1999/07/15
衆院予算委の審議から/海江田、山本孝、石井紘議員が質問
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●予備費、少子化対策、特殊法人問題を追及
15日午前の衆院予算委員会では、民主党から海江田万里、山本孝史、石井紘基の3議員が質疑に立った。
トップバッターの海江田万里議員は、まず「雇用のためなら5千億円規模ではあまりに足りない。安心して失業できるセーフティネットを作る方向性を出すべき」と補正予算を論評した。
続いて、6月10日に経済企画庁が発表した1−3月期の実質GDP(国内総生産)のデータが公式発表前に漏洩、株価に影響を与えた問題について「公務員の守秘義務違反だ」と追及、事実関係をただしたが、堺屋経企庁長官は「調査したが特定できない」などと答えるなど、納得できる答弁はなく、海江田議員は再調査を求めた。
また99年度予算のうち約5000億円の予備費に対して、「国家的プロジェクトに支出する」とする野田自治相と「不測の事態のため」とする宮沢蔵相で見解が矛盾する点をただし、海江田議員は「国家的プロジェクトのための予備費なら補正予算で出すべき」と批判した。
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次に質問に立った山本孝史議員はまず、今回の補正予算案に盛り込まれた「少子化対策臨時特例交付金」が全国一律的に交付される点を追及し、もっと大都市部での保育所受入れ体制の改善に重点配分するよう要求した。
宮下厚相は「自治体が自主的な少子化対策を行う意味もある。配分も予算の7割、1370億円が、保育所待機児童の解消のため2割の自治体に充てられる」と反論したが、山本議員は「一方で3割、600億円が待機児童のいないところに交付される。交付金は駅前保育所・駅前保育ステーションの土地購入や賃貸に使用できない。アイデアもなく、ただばらまくだけでは意味がない」と批判した。
また少子化対策に加えて失業対策の意味から、休職中の母子家庭の子どもが保育所に入れない今の規定の改善や、リストラされた家庭の児童に対する配慮、また育児休業制度の取得率向上に向けた政府の取り組みを強く求めた。
さらに山本議員は、介護保険の財源のあり方をめぐり、自由党が税金でまかなうべきだと主張するなど、自自公3党間で意見の違いがあることを指摘したのに対し、宮下厚相が「法律化されたもの。予定通り進める」とする一方で、小渕首相は「3党協議の結果次第。今は結論を言えない」と答弁。これに山本議員は反発し「介護制度の根幹に関わる部分だ。方針を早く決めないと、地方自治体が大混乱する」と首相の無責任ぶりを厳しく批判。介護保険を予定通りにスタートさせるよう主張した。
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3番手の石井紘基議員は、「わが国の経済社会の現状は、健全な資本主義の状態ではない。官営経済=利権経済となっている」と持論を展開し、その一例として、農業土木の土地改良区の政治団体に見られる「補助金ばらまき・政治献金吸い上げシステム」を追及した。
石井議員は、平成7年度の政治資金収支報告書の中で、自民党の政治資金団体「自由国民会議」から6400万円の寄付をうけ、全国土地改良政治連盟などに2200万円を配った「土地改良人自由国民会議」が、残りの4500万円を立替金の名目で自由国民会議へ返却した資金の流れが、自由国民会議の収支報告に記載されていないことを指摘し、「政治資金規正法違反ではないか」と自民党総裁である小渕首相に迫った。答えられない小渕首相に代わって中川農相が「農業補助金と政治資金の流れは関係ない。きちんと届出しており、もし問題があれば自治省が指摘する」と的外れな答弁。石井議員は「自治省にそんな権限はない。何も分からずに答弁するな」と声を荒げた。見かねた中山予算委員長が「総裁が全て知っているわけではないので、お預かりして理事会で協議する」と引き取った。
また、石井議員は特殊法人の電源開発株式会社の高コスト体質を質す中で、同社が進めている「奥只見・大鳥発電所」の建設に伴い、地元自治体と結んだ「行政需要増嵩経費負担に関する基本協定書」について取り上げ、「反対運動がある中で、ありとあらゆる理由を付けて欲しいものは何でもあげましょうという態度だ。電源開発法の目的に逸脱しているし、会社として背任の疑惑がある」と追及した。
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