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1999/07/16
補正予算案審議、参議院でスタート/今泉、平田両議員が政府の経済運営・失業対策など追及
 15日に衆議院を通過した平成11年度補正予算2案に対する質疑が、16日から参議院予算委員会に場を移して始まった。総括質疑の初日は、民主党・新緑風会の今泉昭、平田健二両議員が質問に立った。


 今泉昭議員は、自殺者が相次ぐ深刻な雇用情勢に対し、政府案は従来型の需給調整的な失業対策にとどまっていると批判。「10年単位の産業構造の転換期にある今こそ、それにふさわしい具体的施策を取るべき」と追及した。それに対して甘利労相は「今までの雇用維持に加えて、今回は中高年齢者の非自発的失業に対して重点的に行う」と答弁。

 また今泉議員が「緊縮財政から需要喚起のための経済運営に転換するのか」とただしたのに対し、小渕首相は「今後はウェイトを産業再生という供給サイドにもおいて、本格的に取り組んでいかないといけない。全力を上げて努力したい」との意欲を示した。

 さらに今泉議員が、「構造転換の時期こそセーフティ・ネットが必要。緊縮財政から180度転換したのなら、思い切った雇用対策を打ち出すべき」とアメリカの例を挙げ、さらに迫った。

 堺屋経企庁長官は「小渕内閣発足以来、金融、需要、雇用の3つを主要課題でやってきた。雇用形態の変化にも備え、手を打っている」とし、甘利労相は「今回の施策に産業政策と雇用政策の両ビジョンを盛り込んだ。短期・臨時の雇用の受け皿を作り、労働力移動にも対応する」と繰り返した。


 次に質問した平田健二議員は、小渕首相が5月の訪米時のスピーチで、「高い失業率もやむをえない」と発言をしたことをまず批判。小渕首相は「高い失業率を望んでいるわけではない。企業もリストラで株価が上がればいいという単純な問題ではなく、企業の社会的責任を持ってほしい」と説明した。

 続けて昨年11月の「100万人雇用創出策」や99年度予算など諸施策にも関わらず、高い失業率が解消されていない点を指摘し、「絵に描いたもち」と追及したが、小渕首相は「『100万人雇用創出策』の場合はマクロ的に過ぎたので反省するが、当初の99年度予算で雇用対策に1兆円を投下している」と強弁した。

 また平田議員は、中高年の非自発的失業者を雇い入れる事業主に対して助成する、今年1月創設の「緊急雇用創出特別基金(600億円)」について、「沖縄県の32人に980万円が使われただけ。ほとんど利用されていない。これでは国民が怒る」と追及した。甘利労相は「これは安全ネット。雇用創出とは別だ」と言い逃れたが、平田議員は「そのネットが高すぎて、実効性がない。もっと基準を下げるべき」「9兆円以上を金融機関に投入し、300万人の失業者には見せ金だけしかないのか。国民は納得しない」と主張した。

 また経営破綻した山一証券への3000億円を超える日銀特融の焦げ付き問題について、平田議員が質したのに対し、宮沢蔵相は「特融は(当時の)大蔵大臣の要請に沿ったもので、大蔵大臣に解決する責任がある」と明言した。
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