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1999/07/29
民主党の「起業家支援法案」、惜しくも否決/大企業優先ではなく新規事業創出を−衆院商工委員会で堂々と主張
 政府提出の「産業活力再生特別措置法案」が29日の衆院本会議で、自民、公明改革、自由などの賛成多数で可決し、参議院に送られた。民主党は、対案として「起業家支援法案」を提出し、27、28両日の衆院商工委員会で、政府側の与謝野通産相と並んで、松沢成文、島聡、島津尚純、上田清司各議員が答弁に立ち、堂々とわたりあった。

 政府案は企業に過剰設備の廃棄のほか、採算がとれる事業部門に人や予算、設備などを集中させて競争力を高めることを求め、さらに不採算部門は企業本体から切り離すことを狙って、分社化事務手続きの軽減や税制の優遇措置を設けている。一方で、企業のリストラを後押しするため、雇用不安の深刻化が懸念されている。

 27日の質疑では民主党の渡辺周議員が「雇用対策に具体性がない。過剰設備とともに、従業員の首切りが進むのでは」と懸念を表明。また中山義活議員は「大企業、重厚長大産業だけが得をする制度ではないか」と指摘した。樽床伸二議員も「政府は既存の大企業しか見ていない」と追及した。答弁した民主党案提出者は、新規事業の創出を前面に打ち出した民主党案の優位性を主張した。

 29日の本会議では、民主党の島津尚純議員が討論。政府案への反対理由として、(1)事業再構築計画を事業者に策定させ、主務大臣が認定すれば支援措置を講じるというのは、官庁の権益を増大させ、官民の癒着を温存させる(2)機械装置、建物の廃棄だけに絞った、認定事業者だけの税制特例は、普遍的な競争ルールの確立に逆行(3)経営責任を明確にせず企業による労働者のリストラを促進する内容(4)債務の株式化は経営のモラルハザードにつながり、株式取得による事業継続支援や分社化の特例措置は、勤労者いじめに対する歯止めが不十分 --などを上げ、女性起業家支援やエンジェル税制の拡充などを掲げている他党に民主党案への賛同を呼びかけた。

 しかし、起立採決の結果、民主党案は他会派の賛同が得られず、否決。政府案が記名採決の結果、可決された。
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