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1999/08/03
<住民基本台帳法案>/国民総背番号制への懸念、納税者番号導入など追及=山下、輿石両議員
 国民総背番号制につながる住民基本台帳法改正案を審議している参議院の地方行政・警察委員会は、3日午前に参考人質疑を行い、山下八洲夫議員が質問。午後には一般質問で輿石東議員が質疑に立った。

 山下八洲夫議員は、法案と国民総背番号制との関連性を質問したのに対し、日本弁護士連合会で国民総背番号制対策の座長をしている野村務氏は「国民のすべての情報が集められ、検索できるのが国民総背番号制度。言われた通りだ」と答弁。一方、梶原拓・岐阜県知事は「住民基本台帳の管理は本来、各市町村の固有事務。リスクとメリットの比較で住民が決めるべきもの。国は番号の管理だけでいい。国民総背番号制は誤解を招く表現だ」と述べた。

 続いて山下議員は、将来的には納税者番号なども統合した総背番号制に向かうのではないか、と参考人に質問。毎日新聞論説副委員長の中村啓三氏は「是非は別として住民コードは総背番号制と言える。その前提で議論をスタートすべき」と考えを述べた。

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 午後の一般質疑で輿石東議員は、衆議院で自自公3党が合意した「民間部門も含めた個人情報の法整備」が今回の法改正の前提となるのか、「前提ではない」とする従来の政府見解との関係はどうなのか、と政府をただした。野田自治相は「今回の改正で、十分個人情報の保護措置はとれているが、実施までに技術の進歩が予想されるため必要な手当てを行うもの。民間部門で漏えい事件が頻発して国民が不安を抱いており、法的整備の要請は前からいわれていたもの。ものごとを行う手順と理解している」と弁明したが、矛盾の説明にはならなかった。

 さらに輿石議員は、納税者番号制度に議論を移したが、野田自治相は「住民コードを納税者番号として活用するには是非がある。10年以上検討しても結論が出ない問題」と導入に消極的な意見を述べた。

 輿石議員は「大蔵省はなぜ独自に導入を図らないのか」と主張し、システムは万全だと胸を張る自治省の主張を逆手にとって、「大蔵省が自治省と取り決めて導入すれば可能。利用分野が93事務になったと考えればいい」と大蔵省に納税者番号導入への努力を促した。
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