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1999/08/04
<参議院予算委・金融集中審議>/「山一の日銀特融は責任もって返済」福山議員の追及に宮沢蔵相
 参議院予算委員会は4日、経営破たんした日本長期信用銀行(長銀)や日本債券信用銀行(日債銀)に関する集中審議を開いた。民主党・新緑風会からは福山哲郎、郡司彰両議員が質問に立った。

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 福山哲郎議員は、まず今年6月に破産宣告を受け山一証券への日銀特融のうち約1600億円が焦げ付く見通しになった問題を取り上げた。

 福山議員が大蔵省の責任をただしたのに対し、宮沢蔵相は「日銀特融を行った当時は山一証券は債務超過に陥っていないという判断だったかも知れないが、国の中央銀行である日銀の内外の信用が失われないようにするためにも、日銀特融を要請した大蔵大臣に責任はあり、日銀に払わなくてはならない」と述べた。

 福山議員がさらに「蔵相が払うというのは、国民の税金で埋めるということか」「蔵相の政治責任はないのか」と追及したが、宮沢蔵相は「要請した者が返さなければいけない」と繰り返すだけで、公的資金投入についてははぐらかした。

 日債銀について、福山議員は「(金融監督庁発足前の)大蔵省は旧銀行法の24条に基づく報告、26条に基づく業務停止命令や改善命令などを一切行っていない」との事実を日野・金融監督庁長官などの答弁から引き出し、「法律に基づいたことを何もしないで、奉加帳を回した。行政の不作為責任がある」と大蔵省の対応を強く批判した。

 これに対して宮沢蔵相は「行政指導が行われたのは明らかで、法律に基づいていないからといって不作為ではない。いちいち法律を根拠にしなくても監督が行われていた」と官僚の論理を代弁するばかりで、福山議員は納得せず、議論は堂々めぐりに。

 福山議員はさらに、中井・大蔵省大臣官房審議官(当時)が日債銀への民間出資先と交わした「確認書」についても、「山口・元大蔵省銀行局長の『個人的判断でもないが、命令でもない』との証言は納得できない」と追及。宮沢蔵相は「大蔵大臣の意を体して、公務員としてやったこと」とかばったが、福山議員が「この確認書に大蔵省としてどう責任がとれるのか」と切り込むと、「質問が難しすぎる。公文書とも私文書とも言えない」などとしどろもどろに。福山議員は「そんな訳の分からない文書を何社にも配って2000億円もの金が動くのか。それで国民は納得するのか」と厳しい口調になり、金融監督庁に他の確認書も全て提出するよう要求した。

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 続いて質問に立った郡司彰議員は、日債銀が93年に社内に新たに設けた「営業第9部」が、当時すでに5500億円といわれていた不良債権処理に果たした役割に注目し、「ペーパーカンパニー設立やとばしで、この部署が重要な役割を果たしているのではないか」と事実関係の確認を求めたが、金融監督庁からは「組織の具体的な業務は承知していない」との答弁しか返ってこなかった。
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