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1999/09/13
<党代表選>高崎市(群馬県)で地方遊説第一声
●首相の地元で自自公批判・党の結束をアピール

 民主党の代表選挙に立候補した鳩山由紀夫、菅直人、横路孝弘の3候補が13日夕、高崎市(群馬県)で街頭演説と立会演説会を行い、地方遊説をスタートさせた。

 3候補は同じ新幹線で高崎駅に到着。通りがかった女性たちから握手を求められながら、駅西口の演説会場へ向かった。駅前の広場や歩道橋の上には約300人の聴衆が集まり、蒸し暑い中、真剣な表情で演説に耳を傾けていた。中島政希さんの司会で、まず伊藤英成・中央代表選挙管理委員長と地元選出の角田義一参議院幹事長があいさつ。

 続いて、菅直人候補がマイクを握り、「日本の行き詰まりの原因は、今さえよければそれでいいという自民党政権のばらまき、税金の無駄遣いだ」「自自公が通した法案は、盗聴法など国や役人が国民を管理、コントロールするものばかり」と批判、「大政翼賛体制との戦いの先頭に立ちたい」と訴えた。

 次に横路孝弘候補は、「公共事業投資と福祉への投資を比べると、雇用への波及効果は後者の方が高い。必要なところへ必要なお金を使い、日本の歳出構造を変えることが大事だ」「医療改革も、特定の集団に利益を与える自民党では改革は何も出来ない」などと具体例を示しながら、「福祉や医療、年金、雇用への安心感があれば、経済は活性化する」と主張した。

 鳩山由紀夫候補は、「(夏の甲子園で優勝した群馬の)桐生第一高校の全員野球に見習って、菅さんひとりに頼り切っていた民主党を反省し、党のいろんな顔や個性、政策を知っていただくために立候補した」「守旧と保身だけのいつわりの保守政治から、国民のためを思い、無私の気持ちで行える政治を取り戻していきたい」と呼びかけた。

 3候補はこの後、市内の宴会場での立会演説会に出席。会場は用意した400席の座席がたちまち埋まり、100人以上の立ち見まで出る盛り上がりだった。

 菅候補は「小渕さんはいい人かもしれないが、自由党のいうちょっと危ない話も、公明党のいうちょっと無責任な話も何でも受け入れてしまうこわさがある」と小渕首相の政治姿勢を批判。「大臣は役所の代表ではなく、国民の代表」という持論や、厚相時の経験談を交えながら、情報公開法などを利用して国民が権限を持って役所をコントロールする必要性を訴えた。

 横路候補は「アメリカ型の市場主義は『ライオンの自由』=強い者の自由が強調された社会。日本には、協力し合う文化、社会がある」として、北海道伊達市で知的障害者施設「太陽の園」を中心に、市民や地元企業が一体となってノーマライゼーションを進めている実践例を紹介。「今までの福祉は、施設を作って入れるだけ。これからは、多様な選択があって、自分が決定できる社会が必要だ」と、目指す政策の方向性を示した。

 鳩山候補は、上野公園でホームレスの方々のテントが並ぶ様子に衝撃を受けたり、大阪・西成のあいりん地区を訪問した体験談を紹介。「政治の責任を痛感した。仕事さえあればいきいきできる人たちを支援し、自立を助ける政策を真剣に進めなければならない」と訴え、「強い経済を作ろうとせず、カンフル剤だけをうち続け、依存体質を強める」小渕政権の経済政策を批判した。

 この後、会場からの質問に答えた3候補は、最後に「3人の考えの基本は同じ方向を向いていることが理解されたと思う」(鳩山候補)「総選挙は近い。戦う相手は自民党だ」(横路候補)「これでバラバラになるようでは頭を剃るくらいでは済まない、本当に腹を切らねばならない」(菅候補)と述べ、結束ぶりをアピールし、演説会を終えた。
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