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2006/06/23
【参院財金委】櫻井議員、公平・中立性欠く日銀総裁の投資を追及


 参議院財務金融委員会は23日午前、村上ファンドに1000万円を投資していた問題でその去就が注目されている日銀の福井総裁を参考人として招致して閉会中審査が行われ、民主党・新緑風会の櫻井充参院議員(『次の内閣』ネクスト金融担当大臣)が質問に立ち、公正性・中立性厳守の観点から総裁の行動の問題点を追及した。

 櫻井議員は、公平性・中立性を踏まえたうえで日銀総裁としての立場上、やってはいけない行動とは何かを質問したのに対し、総裁は「政策決定プロセスにおいて、経済物価情勢・金融情勢よって正しく判断していくこと。判断の過程において、それ以外の要素で判断を曲げないこと。マーケット・国民のみなさんからの信頼を得ながら規律正しく行動する」などと答弁。判断・指示を歪めないためには特定の企業を応援するとかはしてはいけないということではないかとの櫻井議員の重ねての問いには、個々の利益に対してはしっかりとした距離感をおくということだとの認識を示した。
 
 そうした議論を踏まえて櫻井議員は、村上ファンドへの支援は中立性の観点で問題ではないかと改めて指摘したが、福井総裁はそれに対し、支援は民間時代に始めたことであり、日本社会の閉塞感を絶ち切ろうという村上氏の勇気に共感しての行動で、利殖目的ではなく、志を応援するものだったと説明。また、総裁就任後はアドバイスも行っておらず、投資内容の変更を判断する運用指示権を持たない共同投資であるために問題ないと判断し、保有し続けたとの説明を繰り返した。櫻井議員は、志を支援したのであっても、投資したからにはファンドの支援に繋がると指摘。個別のファンドの応援は、日銀の中立性という意味では問題があるとの認識を重ねて示した。
 
 これに対して福井総裁は「運用支持権もないので投資活動とは遮断されている」との主張をあくまで繰り返し、総裁就任後も投資資金を引き上げなかったのは反省すべき点としたが、村上氏の当初の行動を高く評価してとった投資だったとし、日銀の中立性という観点でも運用指示権を持たないものであったという点から判断して「問題ない」とした。

 櫻井議員は「そもそも社会的な認識と乖離した総裁の認識がある」と述べるとともに、世論調査の結果、半数以上の国民から「辞任すべき」との声が上がっていることを指摘。そのことは日銀の市場からの信頼失墜に繋がり、日銀にとって大きな問題であることはもとより、日本経済にとって大問題であると指摘した。しかし、日銀総裁は国民の信頼を裏切る形になったことは反省に値するとの考えを示したが、「あくまでも職務は全うさせていただきたい」として、辞任する考えのないことを表明した。

 櫻井議員は村上ファンドだから問題視しているのではなく、ファンドへの投資自体が問題だと改めて指摘。同時に「職務上知りえた情報を元に取引きしてはならない」などとだけ定めている日本銀行の内規上問題なかったとの福井総裁の認識等を受けて、内規そのものを見直す必要があると言及。公平性・中立性の観点から資産公開を求められているFRB(米連邦準備理事会)基準等に順ずる厳しい規定を設ける必要性を指摘した。
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