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2006/06/29
福井総裁の発言と提出資料は明らかに矛盾 菅代行が会見で批判


菅直人代表代行は29日午後、党本部で定例の記者会見を開催し、小泉首相の靖国参拝発言の問題、日本銀行の福井総裁の投資問題、小泉首相の訪米と日米関係などについてコメントした。

 菅代表代行はまず、外遊中の小泉首相の靖国参拝問題に関する発言について取り上げ、5年前の自民党総裁選に続いて、「わざわざこの時期に靖国参拝問題を大きな争点として、自らの発言でそういう位置づけにしている」などと所感を述べた。その上で菅代表代行は、わが国外交に関し、米国、アジア、ヨーロッパなど、「幅広く友好関係を維持・発展させるのが、総理が考える基本でなければならない」にも関わらず、「日本の外交上の国益という観点よりも、いわば自らの好き嫌い感覚、個人的な考え方を優先した」ことを厳しく批判した。

 日本銀行の福井総裁の投資問題に関しても菅代表代行は、国会に提出された資料を見る限り、「これまでの福井総裁の色々な発言と、今回提示された資料とは色々なところで食い違いが出ている」と指摘。福井総裁が、総裁就任時に解約しなかった理由として、「自分一人が外れるのは、仲間に対して申し訳ない、という言い方をした」にも関わらず、2001年4月に切り替わった新しい投資事業組合の契約書では、組合員の数は原則1名と明記されている点一つをとってみても、事実関係が異なると批判した。

 また、日銀の内規の中で、個人的利殖行為は慎まなければならないとされているが、同じ契約書の第5条には、「簡単に言えば、株に投資をしてキャピタルゲインを得る」ことが目的であると書かれていることにも菅代表代行は言及。福井総裁本人の署名捺印もされており、「これが個人的利殖行為にあたらないというのであれば、利殖行為とは何なのか」と批判を加えた。菅代表代行はその上で、福井総裁は「当然、もう一度きちっと説明をする必要がある」とし、同時に与党側が急に、この問題で閉会中審査は開かないと言い始めたとの報告が来ていることにも触れて、「明らかにこれまでの発言と資料とが矛盾している」と指摘。与党側の「逃げ切ろうという姿勢があらわになってきている」と批判した。

 小泉首相の訪米と日米関係の現状認識について記者に問われた菅代表代行は、日米両国の首脳の交流が盛んであることは、「一般的に言えば、大変望ましい」としつつも、「果たしてそのことが、日本国民にとって本当にプラスになったのかということは、また別だ」と指摘。米国大統領に「こうしてくれ」と言われて、「少なくとも日本国民に説明がないままに事が進んだ」ことが何度もあったとして、イラク戦争や米国産牛肉輸入問題などを例として挙げた。そして菅代表代行は、「その姿勢は今回の訪米でも変わっていないのではないか」とし、「まさに米国大統領に一番従順に従った首相として、歴史に残るのではないか」と厳しい見方を示した。
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