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2006/07/10
【衆院拉致特】閉会中審査を開催 松原・松木議員が質問




衆議院の北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会は10日午後、閉会中審査を実施。民主党・無所属クラブから質問に立った松原仁・松木謙公両議員は、ミサイル発射問題を受けて日本政府が発動した対北朝鮮制裁措置などについて、安倍官房長官に見解を質した。

 松原議員は冒頭、今回の措置について、日本の外交史上、後世で大きな評価を得て、「あの時に日本の外交は変わった」と言われる転換点になるとの認識を示した。その上で、拉致問題に進展がないかぎり、万景峰号の入港禁止措置が解かれることはあり得ないという明確な答弁を行うように安倍長官に求めた。

 安倍長官は、6ヵ月後の政府をしばる訳にはいかないとしつつも、北朝鮮の拉致問題への対応は、制裁解除の判断材料のひとつになるとの見解を示した。松原議員は、制裁を発動するときには「拉致」という言葉を明示的に入れるよう強く要望するとした。

 松原議員は続いて、国連の安全保障理事会に提案し、採択に向けた議論が続けられている対北朝鮮制裁決議案に言及。「妥協しないで、我が国の決議案を通していただきたい」と確たる姿勢を求めた。安倍長官は「国際社会として北朝鮮に間違ったメッセージを発してはならない」と採択を行う重要性を説明した。

 松原議員は、改正外為法に基づく北朝鮮への送金停止措置についても取り上げ、国連決議の行方も見定めつつ、発動の準備を進めるよう要請した。また、再入国の禁止措置を選択した理由や、日朝平壌宣言についての所感を安倍長官に質した。

 続いて質問に立った松木議員は、北朝鮮が本委員会審議を注視しているとの見方を示し、「日本は簡単には折れない」というメッセージを伝える機会だと指摘。日本人拉致被害者や特定失踪者についての記憶を喚起し、問題を風化させない取り組みを行うように強く求めた。これに対して安倍長官は「多くの疑問点や矛盾点があり、説明は納得がいくものではない」と同意し、拉致問題が解決されなければ、日朝の正常化は無く、今後も方針は変わらないと述べた。

 松木議員は重ねて、未帰還者を返せという明確な発言をこの場で行うよう求めた。安倍長官は、拉致被害者全員の生存を前提に今後も交渉すること、全員帰国を果たすまで拉致問題は解決をしたとは言えないことなどを表明。「北朝鮮がしっかりと判断しなければ、経済、エネルギー、食料など現在抱えている問題を解決することはできないと、認識しなくてはならない」などと指摘した。松木議員は、与野党の別なく、拉致問題の解決に取り組む考えを示して質問を終えた。
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