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2006/07/27
米国産牛肉の安易な輸入再々開には反対 菅代行が記者団に




 菅直人代表代行は27日、昨日に引き続いて神奈川県厚木市内で街頭への訴えを行ったほか、記者団の質問にも答え、10月の衆議院補欠選挙取り組みへの意気込み、米国産牛肉の輸入再々開問題などについてコメントした。

 本厚木駅前で行われた街頭演説会では、後藤祐一神奈川県第16区総支部長や牧山ひろえ参議院神奈川県選挙区第4総支部長らとともに、菅代表代行が、通勤に向かう人々に対して訴えを展開した。この中で菅代表代行は、「日本の社会が何か殺伐としてきてきたと思うのは私だけではないと思う」として、ライブドア問題や村上ファンド問題を例に、日本社会の変化に警鐘を鳴らした。更に、米国産牛肉の輸入再々開問題についても、わが国の安全基準を満たしているとはとても言えず、その牛肉を食べさせられるのは日本国民だとして、小泉政権の「ある意味での負の遺産だ」と批判した。

 菅代表代行はまた、緊迫するパレスチナ情勢に懸念を示し、靖国神社参拝問題に関しても、争点にしたのは他ならぬ小泉首相自身だと厳しく指摘。「人間と人間との関係が薄れてきている」ことに改めて懸念を示し、「何でもありの政治をどんどん促進したのが小泉政治だ」として、その政治姿勢に批判を加えた。

 また、笠浩史制作局長も街頭演説に加わり、特に機会の平等が奪われた日本社会の現状に懸念を示しつつ、自らも先頭に立って取り組んできた教育問題の重要性を改めて強調。同じ神奈川県の政治家として、後藤総支部長らとともに、「一人ひとりが安心して暮らすことができ、地域に根ざした改革」を進めていくとの意気込みを力強く語った。

 この後、菅代表代行は記者団からの質問に答え、10月に行われる補欠選挙に関しては、自民党も新しい総裁の下でたたかう選挙だとして、「単なる補欠選挙というよりも、これから先の政治を占う選挙になる」と指摘。小沢一郎代表や鳩山由紀夫幹事長との打ち合わせの中で、菅代表代行が神奈川16区については担当することになったことも明らかにした。そして、小泉政治を踏襲する自民党ではなく、危機に瀕しているわが国の内政・外交を立て直し、「本当に安心できる社会、格差のない社会、世界から信頼される日本をめざす民主党」への理解を求めていくとした。

 また菅代表代行は、「民主党の小沢代表の再選は間違いないと思うし、自民党は安倍さん(官房長官)がきわめて有力だということは言える」としつつ、「これから安倍さんの言動をしっかり見ていかなければならない」と指摘。少なくともこれまでの言動を見る限り、「小泉チルドレンの筆頭みたいな人だ」として、その方向性は「小泉政治の踏襲だろう」とした。そして、「小泉政治は結果として、日本の社会に、勝ちさえすれば何をやってもいいという風潮を広めた」と批判。「これは正さなければならない」などと述べた。

 更に菅代表代行は、「小泉さんの小型版、チルドレン版」の安倍官房長官に対して小沢代表は、自民党を飛び出して、成功も失敗も味わい、自らの信念を貫いてきたとして、「再チャレンジは小沢さんにこそふさわしい」としつつ、安倍官房長官が再チャレンジと言うが、「1回目のチャレンジとはなんだったか」などと痛烈に皮肉った。

 米国産牛肉の輸入再々開問題に関しても菅代表代行は質問に答え、民主党は「米国に視察団を送ったりして、しっかり現場の状況を含めて把握している」と指摘。米国産牛肉の輸入にあたっては、日本並みの安全基準が適用されていないとして、「なぜ国内よりも緩い基準で輸入を認めるのか、一種の逆差別みたいなものだ」などと批判した。その上で、「小泉首相とブッシュ大統領の政治的な貸し借り関係が一つの背景にある」と菅代表代行は指摘し、「そのために日本の皆さんに国内の基準よりも緩い基準で牛肉を輸入するのは全くおかしく、認められることではない」とした。そして民主党としては、「安易な輸入再開には反対だという姿勢を従来から示している」とし、「問題点をしっかりと指摘していきたい」などと述べた。
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