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2006/07/27
党鹿児島県豪雨視察団、被災状況調査し復旧支援へ意気込み示す


 鳩山由紀夫幹事長はじめ、党豪雨災害等対策本部長の高木義明副代表、同対策本部事務局長代理の長妻昭『次の内閣』ネクスト国土交通大臣は27日、党鹿児島県豪雨視察団として鹿児島県入りし、市街地・農地・河川に及ぼした豪雨による被災状況を視察。さつま町の井上町長、大口市の隈元市長からそれぞれ、被災状況等の説明を受けるとともに、激甚災害の指定など国による災害復旧事業の必要性が指摘されたのに対し、「一刻も早い対応が必要。政府に早急に働きかけていく」との見解を鳩山幹事長は示した。

 視察団はまず、さつま町役場を訪れた。井上町長は、氾濫した川内川は下流から河川改修が進んでいたが、中流・上流は「要望していたものの手付かず」であり、「そこのところがことごとくやられた」と語った。同時に、従来の常識を超える記録的な豪雨に見舞われたとして、抜本的に河川改修のあり方を見直していかなければならないとした。また、「被災者生活再建支援法が浸水地域に対してどこまで適用されるのか。それぞれ事情が違うが、枠を変えてでも必要とするところに支援してほしい」と述べた。

 同席した県の関係者からは、「激甚災害の指定」「川内川水系の総合的・抜本的改修」「被災者生活再建支援制度の適用要件の緩和及び制度の拡充」「農地、農業用施設等災害復旧工事の早期実施」など15項目を盛り込んだ知事からの要望書が鳩山幹事長に手渡された。

 鳩山幹事長は亡くなられた方へのお悔やみと被災された方々へのお見舞いを述べたうえで、異常気象が常態化するなど地球規模で変化に対応するため、河川の安全対策など、あらゆる基準値を見直していく必要があると指摘。河川の決壊を最小限に抑えるためにはまた、豪雨が予想されるときはダムの貯水量を事前から減らし、放水基準値等も見直していくなど、新たな視点をもつことが重要だとした。

 視察団はさらに、川内川の氾濫で床上浸水したさつま町の中心部・虎居地区を歩いて回って片付け作業に追われる被災者を見舞い、「たいへんなことになりました」「ごくろうさまです」などと声をかけた。作業の手をとめた商店店主夫妻は「うちはまだ手伝いに来てくれる人がいるからいい方。一人暮らしのお年寄りは何もできず、心身ともに疲れて入院してしまった人もいる」と語った。別の女性は「疲れた。何とかしていただきたい。民主党にもお願いしたい」と切実な声を上げた。さつま町では当然、農地の被害も甚大で、流れ込んだ泥に埋まった田んぼや押しつぶされたビニールハウスなども見て回った。

 大口市では出迎えた隈元市長から川内川の流れを見ながら、被災状況の説明を受けた。隈元市長によると、川内川中流に位置する大口・伊佐地区は昔から洪水による被害を被っている地域で、景勝地でもある高さ12メートルの曽木の滝地区で分水路の着工が求められ、建設省も15、6年前に一部の用地買収を行ったが中止。「堤防を強くすれば洪水の被害は防げるということで分水路着工は見送られたのだが、結局、堤防では防げなかったことが明らかになった」と市長は指摘した。分水路の着工が望めないのであれば、上流にあるダムについて「発電のための水量確保」優先ではなく、「河川の水量調整」のためのダムとしての機能の見直しも必要との認識を市長は示した。

 視察後の会見で鳩山幹事長は、調査を通して得た情報を踏まえて政府の支援を積極的に求めていくと強調。「国として求められる支援は行っていかなければならない。川内川の整備が急ピッチで行われなければならないものと我々は認識している」とも語った。また、全国的に災害が多発するなかにあっては、災害対策特別委員会などを開いて激甚災害指定のあり方など国民の求めに関して議論していく必要があるとして、政府・与党に対して閉会中審査を求めていくとした。
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