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2000/01/15
付属資料 1999年度活動報告
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民主党
【1】新しい民主党中心の政権をめざして
1 全国研修会の開催
参議院通常選挙、統一地方選挙を経て、民主党は自民党に代わる政権の軸になりうる政党としての地歩を固めました。そうした国民の期待に応え、民主党の姿をよりわかりやすく、鮮明にするために、全国研修会の開催、代表選挙の実施、党機構の改革などに取り組んできました。
全国研修会は、地域に根ざす民主党をめざし、新潟県連の全面的な協力の下、湯沢町で地方議員フォーラムと一体で3日間にわたり開催し、政権戦略をはじめ、基本政策、地方分権、介護保険、ニュービジネス、そして2000年問題やインターネットの活用などの多彩なカリキュラムに延べ1500人を超える人が参加し、熱心な研修と議論を行いました。全国の議員、党員、サポーターが一堂に集う研修会は2回目の開催ですが、年々充実させ、拡大させることが民主党の礎のもととなります。同時に、研修会により多くの青年、女性の参加を促すとともに、地方議員フォーラムをさらに発展させるために、それぞれの性格と課題を明確にした分離開催も検討の余地があります。
2 2回の代表選挙を実施
代表選挙は2回実施されました。1月18日の党大会においては菅直人さんと松沢成文さんによって代表選挙が戦われ、菅候補180票、松沢候補51票(棄権6票・無効2票)で、菅直人代表が再選されました。この代表選挙の総括の中で、役員の改選は9月、方針等を議論する定期大会は1月という考え方が示され、菅代表の任期途中にも改めて代表選挙を行うことが党内世論となりました。
常任幹事会から代表選挙制度の検討を諮問された党規約・機構改革検討委員会(石井一委員長)は、「県別ポイント式党員公選制」の導入を答申しましたが、答申から選挙実施までの期間が極めて短期間であったことから、本年の代表選挙への適用は見送られ、9月に実施された2回目の代表選挙は1月代表選挙に準ずる方式で行われました。
9月25日に実施された代表選挙は、代表選挙管理委員会(伊藤英成委員長)によって管理・実施されましたが、鳩山由紀夫さん、菅直人さん、横路孝弘さんの3名が立候補し、2週間の選挙期間中、全国17都市において計27回の立会演説会が開催され、外国特派員協会や日本記者クラブ主催の講演会・公開討論会なども行われました。
投票の結果、投票総数321票・棄権0票、有効投票総数320票・無効票1票、したがって有効投票総数の過半数は160票でしたが、各候補の得票は、鳩山候補154票、菅候補109票、横路候補57票であり、いずれも過半数に達しなかったため決選投票を行うこととなりました。
決選投票では、投票総数314票・棄権7票、有効投票総数312票・無効票2票、有効投票総数のうち鳩山候補の得票182票、菅候補の得票130票となり、鳩山由紀夫さんが新代表に就任しました。
2回の代表選挙は大きな成功をおさめましたが、選挙制度として党員、支持者の選挙参加を保障し、また、参加意欲を高めるよう工夫すべきであるという意見が強く示されました。
3 迅速な意志決定をめざした党機構の改革
この代表選挙の中で示された各候補の意見を踏まえて、党本部の機構改革が実施され、常任幹事会を中心とする党務を担う部門、政務役員会を中心に国会や政策を担う部門に大別した党運営を行い、責任体制を明確にした上で機敏かつ迅速に課題に対処することとしました。また、自民党を主軸とする政権に代わる新しい政権の準備としてネクスト・キャビネットを設置しました。この機構改革は臨時国会における国会対応、党首討論などを含め順調に機能していますが、さらに全議員が党務と国会・政策活動の両面に積極的に参加する機会の拡大をはかることをめざしています。
4 政務役員会、ネクスト・キャビネットの設置
1999年民主党代表選挙直後の民主党新機構に基づき、民主党の政務に関する機関として「政務役員会」と「ネクスト・キャビネット」を立ち上げました。
「政務役員会」は、党務役員会としての「常任幹事会」に対して、いわば「政府・与党連絡会」に相当し、民主党が取り扱う政策案件及び議事案件等について、党としての態度を協議し意思決定するための機関です。従って、「ネクスト・キャビネット」において決定された政策案件についても、「政務役員会」の協議と結論をもって、党としての最終合意となります。
「ネクスト・キャビネット」は、党の政策全般について処理し、法案審査と「閣議合意」の双方を兼ねるところの意思決定を行うものとし、総理格の代表、官房長官格の政調会長、無任所大臣格の国対委員長のほか、省庁担当大臣格の各担当ネクスト大臣をもって構成されます。また「閣議」には、政務担当の政調会長代理、党務担当の企画局長及び国対委員長代理が「官房副長官」格として陪席します。
以上のような位置づけのもとに「ネクスト・キャビネット」は次のような方針で第146回臨時国会に臨みました。
1.委員会審議に際しては、各ネクスト大臣の下に対応する部門別会議とチームを編成し、質問内容、質問者の配置、登壇日程の調整等について系統的な処理ができるよう努めます。各ネクスト大臣の指揮の下で、副大臣、各委 員会理事らが密なる連携をとり、民主党の追求姿勢や質 問内容に一貫性、総合性、継続性が十分に発揮されるよう、その進行管理をしっかりと行います。以上は「ネクスト・キャビネット部門別会議」の基本任務とします。
また、これらの「ネクスト・キャビネット部門別会議」を効果的に運営していく事務局機能を充実するために、各ネクスト大臣及び副大臣の政策秘書をスタッフとして有効に活用できる体制の調整をはかります。
2.国会に提案する法案等については、まず「ネクスト・キャビネット部門会議」で十分練り上げ、それを関係する部門を交えた「ネクスト・キャビネット協議会」を通じて成案とし、「ネクスト・キャビネット会議」すなわちキャビネットの「閣議」にかけていくというプロセスを大事にします。
3.自自公連立政権の矛盾等について、政治家同士の議論として各委員会においてその政治的課題を厳しく追及します。また、関連する衆参委員会全体の質疑を把握し連携したチームプレーを心がけます。
新たな試みとしてスタートした「ネクスト・キャビネット」は、第146回臨時国会を通じてその存在を内外にアピールしたところですが、それらの活動を点検・総括し次期国会に向けて「ネクスト・キャビネット」活動のさらなる充実をはかっていきます。
【2】 統一地方選挙等への取組みと総選挙体制の整備
1 統一地方選挙への取組み
99年前半の最大の課題は、統一地方選挙への取組みでありました。地方自治体議員は、ネットワーク型政党の地域における顔となり要となるものであり、1人でも多くの地方自治体議員の当選を確保することが、民主党の基盤の確立のために喫緊の課題でありました。この課題を達成するため、党本部に「衆議院・統一地方選挙対策本部」を設け、各都道府県連をはじめとする各級の党組織および支援団体と密接な連携をとりつつ、候補者の擁立の促進および器材・遊説等の支援体制の整備等の活動を積極的に展開しました。
具体的には、2月26日に「全国選挙対策実務責任者会議」を開き、統一地方選挙に臨む具体的な方策についての認識の統一をはかるとともに、選挙政策を提案し確認しました。また、98年後半より逐次行ってきた候補者の擁立作業を一層促進し、最終的には、都道府県議会議員選挙(都議会は補選)について公認256名(うち女性23名)・推薦339名(うち女性29名)、政令市議会議員選挙については公認142名(うち女性17名)・推薦38名(うち女性6名)、市・区議会議員選挙について公認440名(うち女性28名)・推薦411名(うち女性51名)、町・村議会議員選挙については公認55名(うち女性5名)・推薦118名(うち女性6名)、の候補者を決定して統一地方選挙に臨みました。
選挙戦において本部選対は、党幹部の遊説を計画的に実施するとともに、各選挙区への確認団体の統一版ポスター・ビラの差し替え供給や統一政策広告と個人広告のセット掲載を進めるなど、きめこまかな支援活動を展開しました。同時に、各都道府県連をはじめとする各級組織や国会議員を中心とする各級議員は、各候補者選対を積極的に支援しました。その結果、議員選挙にあっては、都道府県議会議員選挙において公認171名(うち女性17名)・推薦219名(うち女性19名)、政令市議会議員選挙について公認114名(うち女性15名)・推薦26名(うち女性4名)、市・区議会議員選挙において公認381名(うち女性26名)・推薦362名(うち女性40名)、町・村議会議員選挙において公認47名(うち女性5名)・推薦103名(うち女性4名)、の当選者を得ることが出来ました。また、首長選挙にあっては、推薦した候補者の大半を当選させることが出来ましたが、民主党が全党的・全国的な支援体制の下に、連合等の支援を得つつ、鳩山邦夫前副代表を推薦して闘った東京都知事選挙においては、善戦しつつも及びませんでした。
2 国会議員補欠選挙への取組み
99年中も、いくつかの国会議員補欠選挙が行なわれました。民主党は、補欠選挙を、国民に自民党を中心とする与党の政策か民主党の政策かの選択を求める場であると同時に、国会における貴重な一議席を獲得する場として位置づけ、全力を投入して闘いました。
統一地方選挙前半戦と同じく4月11日を投票日として行なわれた衆議院小選挙区の3補選には、公認候補を擁立し、統一地方選挙と連携した闘いを進めました。東京都第2区においては、鳩山議員の後継として中山候補を擁立し、圧勝しました。東京都第15区においては吉田候補を、静岡県第8区においては鈴木候補を、それぞれ擁立しましたが、惜敗しました。
10月17日を投票日として行なわれた参議院長野県選挙区補選には、羽田雄一郎候補を公認して臨み、圧勝しました。
3 総選挙体制の整備
民主党は、来る衆議院総選挙を国民に政権の選択を迫る場であると位置づけ、計画的かつ段階的に総選挙体制の整備を進めてきました。
98年10月28日に衆議院第1次公認を決定して以来、99年中も都道府県連等との連携の下に様々な困難を克服しつつ、衆議院議員候補者の擁立作業を進め、合計200名に達する候補者を擁立しました。その中で、国民に開かれた候補者擁立を進めるため、候補者の一般および女性からの公募を実施しました。全国から500名を超える多数の応募があり、マスコミ報道をはじめとして大きな反響を生じるとともに、応募者の中から候補者が決定するという成果も生みました。
6月21日には「全国選対責任者会議」を開き、統一地方選挙の総括を行うとともに、98年9月20日に「全国研修会」において提起した「衆議院選挙および統一地方選挙に臨む基本方針」を一歩すすめ、「衆議院選挙対策に関する基本方針」を提起しました。基本方針は都道府県総合選対および衆議院ブロック比例選対の設立を要請しており、同時に別途各級選対間での届出事務の分担も提起されました。基本方針は、7月末の「全国研修会」においても重ねて提起されました。
12月16日には「全国幹事長会議」が開かれ、「衆院選対策に関する基本方針」が改めて提起されるとともに、来る総選挙の闘い方をめぐって討議が行われました。
なお、主として新人の衆議院議員候補者に活動の参考となる様々な情報を提供するため、3回にわたって「候補者選挙アカデミー」を開催しました。
【3】民主vs自自公の国会対決
1 第145回通常国会(1月19日〜8月13日)
最初に、1月19日に召集された第145回通常国会について報告いたします。この国会は、「自自連立政権」下でスタ−トして中盤から事実上の「自自公」3与党体制となり、圧倒的な数の力を背景にして57日間の大幅な会期延長を行ったのをはじめ、少数意見を無視して相次いで強行採決を行なうなど、後世に大きな禍根を残す国会となりました。しかし、このような中でも、わが党は、国民が強く求めていた「情報公開法」や「国家公務員倫理法」あるいは「ダイオキシン対策法」などを全会一致で成立させました。
また、この国会では、国民の権利侵害やプライバシ−侵害につながると懸念された法案が相次いで成立しました。一般に「盗聴法」と言われている法案や住民基本台帳法の一部改正案がこれにあたります。わが党はこのような法案が国民の理解を得ることなく成立することを阻むため、「廃案」をめざして断固たる姿勢で取り組みました。会期末での参議院における、わが党を中心とした野党の激しい闘いは、この法案の問題点を浮き彫りにしましたが、政府・与党はこうした反対意見を無視して採決を強行し、成立させました。わが党は、このような政府・与党の態度に厳しく抗議して、国会最終盤に小渕内閣不信任案を提出いたしました。その結果は、賛成少数で否決となりました。
2 第146回臨時国会(10月29日〜12月15日)
次に10月29日に召集された第146回臨時国会について報告いたします。この国会は、「自自公」連立政権下で初めての国会でしたが、巨大与党の下で一段と強引な国会運営が行われました。民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合の3会派が共同提出した、「藤波孝生議員辞職勧告決議案」については、本会議上程を求める野党に対して与党が再三これを拒否し、ついには上程を認めませんでした。また、年金関連3法案のように国民生活に関わる重要法案であり、慎重な審議が求められる法案についても野党の意向を全く無視して、わずか3日間の審議で厚生委員会の採決を強行するなど、その強引さは目に余るものがありました。
しかし、こうした自自公与党3党の数を頼りにした強引な国会運営も国民世論とわが党を軸にした野党共闘の結束の前に脆くも崩れ、年金関連3法案をはじめとして共済関係4法案も参議院で継続扱いとなり次期国会に持ち越されました。また、自自公与党3党は介護保険の見直しで迷走し、連立政権発足時の合意事項として臨時国会の冒頭処理を掲げていた衆議院比例定数を20削減するための「公職選挙法改正案」についても野党の強い反対で実現せず、先送りとなりました。
このような中で、わが党は、この国会の重点課題として掲げた(1)原子力防災関連法(2)オウム真理教対策法(3)政治家個人への企業・団体献金を禁止する政治資金規正法改正―などの法案成立に全力を傾注し、成立させました。残念ながら、藤波孝生議員の辞職勧告は実現できませんでしたが、衆議院議員の3分の2を超える議席を有する、かつてない巨大与党との対決のなかでは一定の成果を挙げることができました。
3 参議院の活動(第145回通常国会、第146回臨時国会)
一昨年末、自自連立政権が発足し、参議院での与野党の構成も変化しました。参議院国会対策委員会としては、与党に対抗するため、十分な審議時間を与党に要求し、徹底した審議を行う方針で国会運営に臨みました。
1月19日に召集された第145回通常国会では予算・法務委員会において中村法務大臣の疑惑を追及して辞任に追い込み、小渕政権の欺瞞性を暴きました。法案審議では情報公開法の利用手数料の軽減と不服提訴裁判所に那覇地裁を加える旨の参議院独自の修正を勝ち取り、国民にとって利用しやすい制度の実現を果たしました。またダイオキシン問題では民主党が中心となって議員立法で対策法案を発議し成立させました。内閣提出法案では参議院先議の男女共同参画社会基本法に、ただ反対するという方法はとらず責任野党として対案を提出して精力的に与党と協議を行い、その基本理念を前文に盛り込む修正を勝ち取りました。
ただ公明党が連立政権入りを表明した後半国会では与党の数を頼んだ国会運営は更に強引になりました。民主党としては特に盗聴法案及び住民基本台帳法案の廃案に全力を挙げましたが、与党は会期を8月半ばまでという57日間もの延長や、衛視を導入して委員会採決を強行するなど国会審議を無視する傲慢な姿勢を取り続けたため、他の野党各会派と協力して不信任・問責決議、動議を提出するなど夜を徹して対抗しました。第146回臨時国会では年金関連法案を審議する衆議院厚生委員会の運営に際し、側面支援を行い参議院での継続審議を勝ち取りました。
4 野党第一党としての政策立案・立法活動
昨年は、党の基本理念・基本政策および平成10年参議院選挙政策を踏まえ、また統一地方選を視野に入れて、政策調査会のもとに設置された調査会やプロジェクトチーム(PT)・小委員会等も広く活用し政策をとりまとめました。また、代表選挙後の新体制ではネクスト・キャビネットが設置され、その戦略・方針のもとで第146回臨時国会で提案されるものを中心に法案・政策を策定しました。
1)政府・自民党案に対抗する法案・政策の策定
通常国会では、「日米防衛協力のための指針」関連法案、衆参両院での憲法調査会の設置、国旗国歌法など、国のあり方の基本に関する法律について展開された真摯な論議を受け、政策や法改正案をとりまとめました。加えて、外交・安全保障について「安全保障基本政策」を策定しました。内容は、平和を実現するために最も重要なことは外交であることを前提とし、非政府組織との連携というアプローチも取り入れながら、外交・防衛の総合力向上をめざすべきであるとしています。その結果、従来のイデオロギー対立に基づく安全保障論議を排し、安全保障面における日米関係の重要性を十分に認識しつつ、日本の主体性ある安全保障政策の確立が提案されています。
2)自自公連立与党への対案提示
秋の臨時国会では、まず東海原子力事故の発生に迅速に対処し、「原子力防災対策」、「原子力安全規制対策」をまとめました。焦点となった「介護保険」については実施にあたって趣旨が守られるように主張し、「年金制度改革」については政府・与党が先送り・小手先のみを行おうとするのに対し、民主党の基本的な考えを示しました。また、通常国会での国家公務員倫理法の成立に続いて政治家の政治資金を規正するため、企業団体の政治家個人への政治資金の寄付の禁止をもり込んだ「政治資金規正法改正案」や、「あっせん利得収賄罪法案」などを策定しました。
3)政治改革・行政改革
政治・行政システムの改革に関しては、情報公開法の成立に尽力し、「国会活性化法」には民主党のかねてからの主張である首相と野党党首との討論をもり込みました。行政改革については「行政改革に対する基本方針」で、強力な首相府と内閣府の主導による簡素・効率・透明を旨とした基本方針をまとめました。国の行政分野をスリム化して、原則として国でなければ行えない権力行政及び給付行政の内最低基準(ナショナルミニマム)と調整ルール作りに限定し、その他の分野については徹底した「市場へ・市民へ・地方へ」という振り分けを行うことを内容としています。一方、組織犯罪対策に係る「盗聴法」や、事実上の国民総背番号制である改正住民基本台帳法については、生活者の立場からそれに反対する政策づくりを行いました。
4)地方分権の推進
また、分権に関連しては、地方統一選挙に先立ち「地域のことは地域で決める」ための仕組みを作り、福祉・環境・教育など生活に安心をもたらす施策である、「1999統一地方選挙重点政策」を発表しました。内容は、分権、公開、参加を基本とし、景気回復と雇用を守りつつ経済の構造改革を実現し、生活者を重視した各種政策・施策の実現を行うものです。地方分権一括法については民主党の主張で、地方分権の観点から法定受託事務の適宜・適切な見直し、税財源の移譲についての検討などを修正や付帯決議で追加させ、今後の足がかりをつくりました。
5)景気回復・経済構造改革
懸案である景気回復・経済構造の改革については、中小企業政策、商店街振興策に加えて「緊急失業・雇用対策」をまとめました。また新産業創造、雇用創出のため、政府にさきがけて「デモクラット起業家倍増プラン99」や「起業家支援法」をつくり、本格的な経済再建と景気回復を先導する論陣をはりました。また、消費者の立場に立った「消費者契約法」を策定し、消費者と事業者とが対等な立場で契約を持続できるよう提案しました。また、“商工ローン”等の高利の金融が問題化することを見越し、貸金業の規制強化を目的とする「貸金業規制法改正」や、「出資法改正」について検討を重ね法案化しました。
6)男女共同参画・環境問題
「男女共同参画社会基本法」では、前文を追加するなど民主党のかねてからの主張が加えられ、ダイオキシンや廃棄物、また「PRTR(特定化学物質の排出量等の公開等に関する)法案」に対しては、環境保全のために妥協のない厳しい対応を行いました。また、生活者を重視した教育政策など21世紀を見据えた教育のありかたを提案しました。
以上のように政策調査会は、国の予算編成については99年度当初予算、第1次補正予算について組替え動議を提出、第2次補正予算についても党の主張をはっきり示し、自治体を含む財政改革について構造改革につながる対策を提言、年金・医療・福祉改革や雇用・労働政策を確立しつつ「ものづくり」や起業を支援する法案策定、金融改革、税制改革の施策づくりを進めてきました。外交・安全保障、地方分権、政治改革、農業、男女共同参画などの重要案件についても、民主党の政策や基本的考え方を提示し、対案や修正案をもとに、政策によっては他の野党との協調体制も構築しつつ、政府・連立与党と対決してその実現を図りました。
【4】 党組織の整備と内外の交流ネットワーク
1 地域組織の統一と全国ネットワークの整備
結党以来の課題であった民主党地域組織の整備は、47都道府県全てに統一した民主党都道府県総支部連合会が設立され、また候補者擁立作業の推進と併せて全国208小選挙区総支部の設立が進み、民主党全国ネットワークの整備がはかられました。
全国体制の確立とともに、今後は、いよいよ質量ともに政権政党を担うに相応しい党勢拡大が課題となっています。
地方分権の本格的な段階を迎えて、民主党地方自治体議員を中心とした自立的な分権政治を担う「地方自治体議員フォーラム」が昨年結成され、全国で1800人の地方自治体議員が登録し、その取り組みをスタートさせました。分権時代は、自己責任に基づく多様な、地域発の取り組みこそが求められるだけに、自主的な議員立法による条例制定運動など、地方議会を再活性化させる取り組みの中心的な役割が求められています。具体的取り組みとしては、地方分権の試金石と言われる介護保険制度の実施に向けて、地域介護サポートチームが中心となって、政府や与党3党の介護保険実施延期論や制度見直し論に対して、全国各地の民主党介護保険研修会の実施や地方議会決議の追求、市民参加の介護保険事業計画策定の取り組みなど、各地の地方自治体議員と連携した取り組みを推進してきました。
2 多様な市民活動・各種団体との連携
市民の自主的な政策提案と取り組みを支援し、民主党議員との連携で様々な政策課題の解決をめざす「市民政策議員懇談会」の取り組みは、ダイオキシン対策や成年後見制度検討、交通バリアフリー対策などの民主党の政策形成、国会質疑に反映され、「交通バリアフリー・シンポジウム」など市民活動団体との、政策を軸とした双方向ネットワークの形成の契機を創りだしています。
各種団体等と民主党との協力関係を確立していく取り組みは、「団体委員会」が設置され、本格的な取り組みを開始しようとしています。各団体等との政策懇談会や勉強会等を通じて、民主党との幅広い協力関係を具体化していきます。
労働組合と民主党との連携は、連合との密接な協力関係の下に、国会対策、組織対策、選挙対策などで、日常的な政策・運動両面の様々な取り組みを進めてきました。また各産別労組との協力関係についても、関係議員との政策懇談会が産別毎に設置され、政策提言や産別固有の課題への協力、民間労組を中心とした「産業政策フォーラム」における民主党議員と関係労組による政策論議のとりまとめなど、日常的な交流、政策研究の場として進められています。
3 総選挙に向けた広報活動
99年初頭にスタートした自自連立に対し、民主党は「国民と連立します」とのスローガンを掲げて対抗するとともに、4月の地方選挙では、98年の参議院選挙で訴えた「私は変えたい」のスローガンを受け継ぎ、「地方の力、私は変えたい」をメインにして広報活動を展開、以降「21世紀は民主党」「あなたは自自公ですか、新しい民主党ですか」をスローガンにして、総選挙準備を進めました。
これまでの「月刊民主」の発行に加えて、9月に「D'ear」(Democrats'ear――民主党の耳)というタイトルの情報誌の創刊準備号を発刊しました。同誌は隔月刊でカラー16ページ、民主党の考えを発信するとともに、暮らしや女性の視点・問題意識を重視した編集方針で、全国のミニコミ誌や女性を中心に各界のリーダーたちにダイレクトメールで送付などしています。
大きな盛り上がりをみせた代表選挙では、鳩山代表が誕生した直後の全国紙・夕刊紙に一面広告を出したほか、衆議院候補者の発掘へ向け、FMラジオや女性雑誌、インターネット広告など、工夫した広告展開に留意しました。
インターネットの利用者が飛躍的に増加するなか、ホームページの充実につとめ、12月からは代表、幹事長、ネクスト・キャビネット大臣など16人のビデオメッセージをホームページ上に開設、また、従来からの「FAXニュース」「FAX情報ボックス」「月刊民主」などの発行・サービスを行いました。
4 多様な国民運動との連携
1)政策シンポジウム開催と新たな市民との連携
国民の政治への参加を促し、政策実現への共働を呼びかける活動として、民主党の政策提案をテーマにしたシンポジウムの開催に取り組みました。地方財政問題シンポ(1月・岡山)、起業家支援シンポ(6月・東京)、交通バリアフリーシンポ(12月・京都)を党本部主催で開催し、起業家支援については愛知・千葉・大阪・神奈川の4府県連が独自開催を行いました。交通シンポでは、パブリックコメント募集運動と連動させ、政策立案への市民参加を促す新たな手法を取り入れました。また中小企業者への貸し渋り問題に対応するため中小企業セミナー「どんとこい銀行110番」を、9都道府県・13総支部で開催するとともに、「元気がでる中小企業政策」リーフを年末に発行し、地域での中小企業や商店街への働きかけに取り組みました。
2)民主党をアピールする街頭宣伝活動の強化
東京都知事選をはじめとする統一地方選挙の勝利にむけて、2月中旬から1か月の間、党幹部・若手議員を中心とした街頭演説活動を連日展開しました。さらに結党1周年記念をはじめ、盗聴法・住民基本台帳法・介護保険・企業献金廃止・年金改革など、国会での与野党対決に対応した緊急街頭宣伝活動に取り組みました。秋の臨時国会以降は、解散総選挙に向けた街宣体制の確立に向け、政策ビラや演説用資料などを作成し、地域での街頭宣伝活動の支援を行いました。またトルコ大地震や台湾大地震に際しては、被災者支援のためのカンパ活動に取り組み、地方組織の協力を得て義援金を関係国に送付しました。
5 男女共同参画社会をめざして
女性候補の擁立と資金支援のために「女性支援基金」を設立し、設立記念のティーパーティーを開催しました。統一地方選に際しては、35人の女性候補に資金支援を行い25人の新人議員が当選しました。"女性議員ゼロ議会をなくそう!リレーフオーラムin新潟、島根"の開催を支援し、女性県議を誕生させることができました。
女性に開かれた政党として衆議院総選挙の女性候補の公募を行い、全国から56名の女性が応募しました。書類審査と面接審査を通過した有資格者37名の中から2名(12月14日現在)の候補者を決定することができました。女性の政治参画の促進をめざし「女性のための政治大学」を開校し、党議員、学者・有識者による講義を全6回12講座開催しました。また、政治大学の地方版として岡山では分校を開きました。
"女性の元気が日本を変える"をキャッチフレーズに党の男女共同参画政策ピーアールと女性支持率の拡大をめざして各地で「女性キャラバン」を開催しました。この間、東京、大阪、愛知、静岡、宮城、徳島、滋賀などで街頭キャンペーンと併せて、女性団体・女性記者との懇談会、女性の集い、基調講演会、介護保険トークなどを開催してきました。西村慎吾前防衛政務次官の強姦発言、行政相談週間の1日行政相談所長の人選について抗議と改善の官邸申し入れを行いました。
女性地方議員会議、各県連の男女共同参画委員会担当者会議を開催し、女性地方議員、各県との連携に向けて意見交換を行いました。全国研修会時には、男女共同参画条例づくりワークショップ、女と男のフォーラムを開きました。男女共同ニュース(各1000部・年5回)、男女共同参画社会基本法に関する冊子、男女共同参画政策パンフを作成し、党内各方面、各女性団体、有識者等に配布しました。
6 積極的な政党外交の推進
昨年度は、アジアを重視する党の立場から、中国に菅代表(当時)を団長とする訪中団を派遣しました。代表団は、江沢民中国共産党総書記・国家主席らと会談し、日米安保やガイドライン法案、歴史認識問題、アジア情勢について率直な意見交換を重ね、日中関係の構築・両党相互交流関係の強化を申し合わせました。
また、李瑞環中国人民政治協商会議全国委員会主席が来日の際、鳩山代表らが表敬訪問をし、両国は文化、歴史など深い関係があり、アジアでは非常に両国関係が重要との共通認識をさらに深めました。
昨年末には、村山富市元総理を団長とする「日本国政党代表訪朝団」が朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)を訪問、1992年11月以来中断している両国政府間の国交正常化交渉再開の環境整備のための一歩を踏み出しました。また、国際交流委員会朝鮮半島小委員会が99年3月に朝鮮半島問題調査・研究のために調査団を中国に派遣しました。
昨年も世界各地で民族紛争が多発しました。民主党は、国際交流委員会のもとコソボ・難民避難民支援対策本部を設置し、日本国内の政党として初めてマケドニアの首都スコピエに事務所を開設し、青年ボランティアを派遣しました。各国のNGOや国連機関と連携し、苦しい立場に置かれている難民、特に子どもや女性を中心とした支援プロジェクトを積極的に実施しています。
8月に実施された東ティモールの独立の是非を問う住民投票の選挙監視団を派遣しました。その後、11月には、羽田幹事長を団長とする視察団を派遣し、メガワティ副大統領、東ティモール独立指導者のシャナナ・グスマオ氏、ノーベル平和賞受賞者のカトリック教会ベロ司教らと面談、アジア地域における平和と共生について懇談しました。
大地震の被災を受けたトルコ共和国と台湾に対し、民主党として義援金100万円をそれぞれの駐日トルコ共和国大使館と台北駐日経済文化代表処の代表者に手渡しました。
このほか、鳩山代表、羽田幹事長らは、来日中のヘルムート・シュミット元ドイツ首相、モロッコ王国、オランダ王国の下院議長など、各国の首脳・要人・議員・有識者と率直かつ有益な会談を行ないました。また、党が加盟を検討しているSI(社会主義インターナショナル)の理事会、21回大会に調査団を派遣し、英国労働党、ドイツ社民党、フランス社会党、スウェーデン社民党、モンゴル社民党等と意見交換し、今後も連絡、情報交換を推進していくことにしました。
7 NPO自立支援策の立案にむけて
1999年党大会で新たに設置されたNPO委員会は、党のNPO自立支援策の立案と、各地域で認証が進みつつあるNPO法人や各地域のNPOサポートセンターとの連携作りをテーマに活動を開始しました。
党のNPO支援政策については、(1)NPOが生き生きと活動する21世紀の社会像、(2)NPO法施行後の状況分析、(3)NPO自立支援策の3点を中心に研究会やヒアリングを重ね、党税調と共同して民主党のNPO支援税制案をとりまとめました。
通常国会に向けて、民主党案をインターネットで公開し、NPOや市民活動団体に意見を求めるパブリックコメントを実施しました。また税制以外の支援策の具体的内容について、引き続き検討を進めています。
また市民活動団体との幅広い連携の確立にむけて、各地域で設立されたNPOサポートセンターや連絡会との情報交換を進めました。8月の民主党全国研修会では「NPOと市民介護事業」分科会を開催し、地域や自治体におけるNPOへの関わりや、市民事業への支援のあり方について意見交換を行いました。
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