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1999/08/24
民主党政権政策にあたって
民主党政権政策委員会
座長 中野 寛成


 日本はいま、経済、雇用、教育、コミュニティ、犯罪、情報、子育てなどすべての分野で、社会の急激な変容と緩やかな崩壊に直面しています。政治は何よりもまず、この変容に応えていく使命があります。社会の基盤を再構築し、不安のない未来へと繋いでいく仕事があります。雇用機会の確保を進め、教育を立て直し、犯罪と犯罪の原因に厳しく対処していく必要があります。

 自民党政府は、「経済の再生」を唱って、当面の景気対策を優先していますが、長期的には社会の基礎体力の衰弱そのものが課題となっています。民主党は、経済はもとより、この「社会の再生」に挑んでいく政党です。

 社会の再生なくして、少子高齢社会に対応する福祉サービスの確保も、市場社会や官僚世界に蔓延しているモラル・ハザードの防止も、教育再興も実現することはできません。そして、再生の担い手は一人ひとりの自立した個人であり、その自立する個人の横の連帯すなわち共生によって初めて可能となります。まさに、友愛精神の発露であり、一人ひとりが参画し責任を持つ新しい民主主義の実現です。

 私たちは、こうして創出された社会、すなわち、個人の自立とモラルによって支えられた共同社会(コミュニティ)に基礎を置き、国民一人ひとりの自由な創造性が発揮される国の姿を「最良の国」と呼びたいと思います。

 世界のGDPの七分の一から六分の一を産出する経済大国日本が、「最強の国」でも「最大の国」でもなく、文字通り「最良の国」となるためには、世界の国々や人々から信頼される国となることが今日の必須の要件です。

 国民はいま、より多くを求める物質的豊かさよりも、この国に誇りを感じることができ、社会との手応えのある結びつきを持つことができる、そんな充実した生活の実現を求めています。そして、その希望に応える最良の社会と最善の政治の創造を民主党はめざしています。

 ここに報告する政権政策はそのための一つの提言です。今後、民主党内外の多くの関係者の大いなる議論を巻き起こし、さらに現実的で説得力ある政策提言へと補強して、来るべき総選挙においては民主党の政権政策として活かされることを願っています。
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