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2006/08/02
【衆院外務委】松本政調会長、武正・篠原両議員が中東問題等質疑


 衆議院外務委員会が2日午後開かれ、民主党・無所属クラブからは、松本剛明政策調査会長のほか、武正公一(『次の内閣』ネクスト外務副大臣)・篠原孝(農林水産団体局長)両議員が質問に立った。

 松本政調会長はまず、イスラエルとヒズボラとの戦闘に関して、イスラエルの行為が自衛の範囲を超えるのではないか、国際的に納得できる範囲を超えているのでないかとして、どのように認識しているかを質した。麻生外相は、「報復の範囲を超えるのではないか」との認識を示した。松本議員は、「そうしたメッセージ発し、国際社会にアピールすること、米国との間を取ることが大事だ」と主張した。

 次に、イラクでの航空自衛隊の活動について、安全確保支援活動なのか人道復興支援活動なのか、また、その危険性への認識を鋭く質した。松本議員は、今回の航空自衛隊の活動範囲の拡大はイラク特別措置法に基づき、「誰が責任をもって判断したのか」を質したが、井上審議官は「イラク特別措置法に従っている」と答えるだけのみで、判断者を明らかにはしなかった。こうした姿勢を松本議員は、「解釈もいい加減」などと批判した。その上で、ことは自衛隊員の安全に関わる重大事であり、虚構・ガラス細工の法律で海外に自衛隊を派遣すべきではないと主張し、改めての説明を求めた。

 最後に、松本議員は、北朝鮮に関して、平壌宣言に拘泥するのはなぜか、北朝鮮に対して動きがあれば圧力を強めるのかを質した。麻生外相は、平壌宣言に関しては答えず、「レベルを上げる可能性は高いと思っている」として、今後の北朝鮮の行動によっては、さらなる対応措置を取ることを示唆した。

 次に質問に立った武正議員は、北朝鮮のミサイル発射に関して、テポドン2号に関しては失敗であり、当初の公表された落下地点とは違うところに落ちたのではないかとの報道を取り上げ、認識を質した。木村防衛副長官は「分析中で、現時点でのコメントは控える」などと答えた。武正議員は、冷静な判断のために「国会、国民に正確な情報を伝えるべき」だとして、公表を求めた。

 また、武正議員は、日本の主体的な情報収集能力を高める必要があると主張。その上で、「北東アジアでの外交努力が足りない。したたかな外交が求められる」と日本外交の姿勢を批判した。最後に、武正議員は、対ロシア外交、北方領土に関して、2島返還はとるべきでないと主張したうえで、ロシアとの交渉状況を質した。麻生外相は、「北方4島の防災に関して専門家会議を開こうとか、ロシア外務省も少しは動き始めた」との認識を示した。

 続いて質問に立った篠原議員は、米国産牛肉の輸入再々開問題を取り上げた。篠原議員は、「査察結果を見ずに輸入再々開を首脳同士で決定することはあってはならない」と述べ、米国の食肉処理施設の現地調査が終わる前に訪米して輸入再々開をブッシュ米大統領との間で決めた小泉首相の行動を批判。最初から早く輸入再開しなければという態度で交渉に臨んだ外務省の姿勢も問題だとした。

 篠原議員はまた、全頭検査をして日本の消費者に応えたいという米クリークストーン社の要望を許可しない米農務省の態度について、米ニューヨーク・タイムズ紙も4月6日の紙面で取り上げ、全頭検査を容認すべきと主張していることを紹介。日本の基準を評価する米国消費者団体の声などを日本国内に知らせ、日本の主張を通す努力が必要であるとした。そして、日本の基準に合わせることがBSE問題において好ましい影響を生むと指摘した上で、食の安全についても厳然たる態度を取るよう麻生外務大臣に要請し、篠原議員は質問を終えた。
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