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2006/08/10
党農林漁業再生本部視察団、佐賀市鍋島町で集落営農の現場視察




 党農林漁業再生本部本部長の菅直人代表代行らは10日、農業現場が抱える問題を探るべく、佐賀市鍋島町江里桜の集落営農のモデルケースともいえる農事組合法人えりさくらの取り組みを視察するとともに、近くの公民館で農業者との車座集会を行った。

 視察・集会には山田正彦『次の内閣』ネクスト農林水産大臣のほか、佐賀県連代表の原口一博、県連副代表の大串博志両衆議院議員、次期参院選で民主党公認として佐賀県選挙区で立候補予定の川崎稔候補予定者も同行した。

 集落営農を実践する農事組合法人えりさくらでは、田中組合長から29名が参加して安定生産に向けた取り組みが行われているとの説明を受けた。大麦・大豆・米などの協業経営化を進めたことで集落の7割を占める第二種兼業農家にとっての労力不足を改善した点や、トラクターやコンバインなどの農業機械を共有化することによって、「兼業してもサラリーは農機具代に消える」といった状況の改善につながった点などの指摘があった。また集落営農の定着で地域農業を若手サラリーマンも高齢者も女性も参加して集落全体で支えられるようになり、担い手不足の家庭であっても農地が放置される状況はなくなり、結果として農地保全・環境保全にもつながっていることなども明らかにされた。

 そうした説明を受けて菅代行は法人の合理的な運営に感心するとともに、法人所有の実際にトラクターを運転。クーラーもきいて音楽も聞ける運転席に「快適ですね」と感想をもらしながら、田んぼを往復してきれいに耕してみせた。

 視察後の車座集会では冒頭、菅代表代行が代表当時、ふたつの考え方を前提に民主党としての農業政策を考えたとして、地域で子どもを産み育てていくことができるような農山村地域の回復と、安全・安心な食の安定供給に繋がる食料自給率の向上を目指してきたことを表明。そうした二つの目標達成に向け、直接支払い制度の導入などを行い、農山村基盤を確固としたものにしていきたいとした。「日本の社会そのものが壊れかけている」とも語り、「農山村の再生なくして日本の再生もない」と述べた。

 続いて山田ネクスト農林水産大臣が民主党の農業政策について説明。米の目標価格を240ドルに設定し、市場価格74ドルである現状に対して、その差額分166ドルを国が支払うようになっている米国の例や、農業所得の72%は国からの助成金であるイギリスの例、標高1500メートル以上の高地で営農する農家に年間530万円が国から支給されるスイスの例などを列挙。安心・安全な食料確保と環境保全に向けては、国の直接支払いにより農業を支えて行くことが重要であるとの考えを示し、民主党案の妥当性を訴えた。

 そうした予算確保の難しさを指摘する参加者の声には、「1兆円確保できれば直接支払いは実現できる」との民主党の試算を提示。現在の農業予算3兆円のうち1兆3000億円は農業土木事業に当てられていることを明らかにしたうえで、政府が有効な使い道に換えて行くと方針変更しさえすれば容易に実現できることを説明。「民主党政権になれば、それが実現する」と語った。
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