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2006/08/11
【衆イラク特】池田・神風・長島議員が自衛隊活動などで質問


 11日午前、衆議院で「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動等に関する特別委員会」が開かれ、民主党・無所属クラブから池田元久・神風英男・長島昭久各衆院議員が質問に立った。

 池田議員は、自衛隊の海外での活動と任務について質問。1990年10月にまとめられた多国籍軍への参加に関する政府統一見解を取り上げ、その後のイラク暫定政府や外務省の文書によれば、現在の自衛隊の活動は、統一見解を大きく逸脱しているのではないかと指摘した。安倍官房長官は一切矛盾する訳ではないと答弁した。

 池田議員はまた、航空自衛隊の輸送の状況に言及。基本計画の実施要綱では、内容が人道復興支援活動としての輸送と安全確保支援活動としての輸送に分けられていると述べ、それぞれの比率の説明を求めた。航空輸送の安全上、公表は控えたいとした額賀防衛庁長官に対して、池田議員は、武装した兵士の輸送もありうることから明確な理由を示すよう重ねて要求した。

 池田議員は、日本の安全保障に対する国民の理解を得るためにも、法律的な位置づけとともに、審議の前提となる状況の説明が必要であるとの認識を示した上で「過度の秘密主義」を批判。「武器弾薬輸送は運ばない」という首相の政策判断と政府見解との整合性についても、出席大臣に答弁を求めた。

 民主党として二番目に質問に立った神風英男議員は、イラクで活動した陸上自衛隊員に敬意を表しつつ、自衛隊を海外に派遣するにあたっては原理・原則を踏まえなければならないという立場から質問を行った。

 神風議員はまず、イラク特別措置法における定義による「戦闘地域」は現在イラクにあるのかどうかを質問した。これに対して額賀防衛庁長官は、自衛隊が活動する区域が戦闘地域であるかどうかのみを判断しており、イラク全土について判断しているわけではないと答弁した。神風議員は、アメリカ軍のウェブサイトでは航空自衛隊が初めて戦闘地域に配備されたと記載されていることを指摘したが、防衛庁長官は戦闘地域についてのアメリカの概念と日本の法律の概念は異なると答弁した。神風議員は、戦闘地域および非戦闘地域という用語が曖昧さのもとであるとし、例えば戦争地域と非戦争地域という概念に変えない限り混乱が続くと述べた。

 神風議員は次に、今後の航空自衛隊の活動をとりあげ、イラク特措法にあるイラク国民に対する人道支援と多国籍軍に対する支援の内、これからは後者が中心になるのではないかと質した。防衛庁長官は、各国とも人道支援も行っており、それを支援することは人道支援だとしつつ、自衛隊への法的な制約を超える活動をする必要はないと答弁した。

 神風議員は、航空自衛隊の撤退は陸上自衛隊の撤退よりもタイミングが難しいと指摘して答弁を終えた。

 民主党として三番目に質問に立った長島昭久議員は、民主党としては自衛隊のイラク派遣に反対してきたが、無事に任務を終えて帰って来た陸上自衛隊員には感謝すると述べて質問を始めた。

 長島議員は、北朝鮮のミサイル発射事件に対して国連が非難決議を行うまでの日本の働きかけの経緯について書かれた麻生外務大臣のエッセイを取り上げて、日本外交にとって画期的な11日間であったと評価した。その上で、日本が要請していた国連憲章第7章の制裁決議が成立していた場合、はたして日本としては臨検・拿捕などの制裁のシミュレーションと覚悟が出来ていたのかと安倍官房長官と麻生外務大臣に問い質した。官房長官は、制裁について自分たちが出来ない提案をするはずがないと答弁した。外務大臣は、決議に日本の考え方が盛り込まれれば、あえて中露が反発する第7章決議としなくても良いと判断したと答弁した。長島議員は、結果としては良かったが、外交には決断だけでなく深慮も必要であり、またこのような事態に対応する国内法の整備も遅れていると指摘した。

 長島議員は、航空自衛隊がイラクで活動を継続することが国連からの要請であれば、政府のステートメントにその旨の記載がないのはおかしいと指摘し、安部官房長官は説明の問題であると答弁した。

 長島議員は、航空自衛隊の活動区域が危険であることを指摘しつつ、航空自衛隊の撤退時期について質した。安部官房長官は、イラクの復興状況等を勘案して決めるとのみ答弁した。

 長島議員は、政治の都合で手足を縛って海外に派遣している自衛隊に対して、政治の都合でプレッシャーをかけるのはやめるべきだと強調して質問を終えた。
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