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2006/10/05
【衆院予算委】菅代行、安倍首相の歴史観や外交姿勢を質す




 5日午後の衆議院予算委員会で、菅直人代表代行は、安倍首相の歴史観や外交姿勢に関する質問を行った。

 冒頭、菅代表代行は、首相就任前後の発言に微妙な変化がないかをこの質疑で検証する考えを示し、従軍慰安婦問題の強制性に関する1993年の河野談話と、戦後50年を迎えて95年に発表された村山談話を例に、首相の認識を質した。

 安倍首相はこれらの談話について「内外に対して政府としての考え方を述べた」ものであると述べ、自らの内閣で刷新する考えについては否定した。菅代表代行は、岸元首相の行動なども取り上げて更に追及。首相は、岸元首相は命を懸けて日本の再建や安保条約改定に取り組んだとする一方で、歴史観については「政治家は謙虚であるべき」などとして明確な答弁を避けた。

 菅代表代行はまた、歴史教科書問題に関する首相の発言などを例に挙げて「自らが以前主張したことを変えたのか隠したのか(分からない)。批判を恐れて持論を押し殺しているのではないか」などと指摘し、歴史観を述べずに「これからの日本をこうする」と主張する首相の姿勢に強い疑問を呈した。靖国参拝についても質問したが、首相は「言うべきではないと判断した」として、4月に参拝を行ったか否かに答えなかった。

 続いて菅代表代行は、先月の硫黄島訪問に言及し、遺骨収集がなかなか進まない状況にあると指摘して、全力を挙げるよう厚生労働大臣に要請した。柳澤大臣は答弁の中で、米国側に資料について改めて照会して把握に努めたいと述べた。菅代表代行はまた、硫黄島までの航路に民間機が飛んでおらず、若い世代が現場を見る機会が得にくいとして、今後の要望を述べた。

 8、9日に行われる予定の日中・日韓首脳会談について、菅代表代行は喜ばしいと表明し、トップ会談の中で良好な両国関係が作られることを期待する考えを述べた。このほか菅代表代行は、首相の著書にある対中関係における「政経分離の原則」や、日米安保条約の双務性などについて、安倍首相の認識を質した。
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